椅子の選び方

アームレストから選ぶ高級オフィスチェア【3D、4Dは標準装備、5~7D、2軸回転アームレストとは】

オフィスチェアを選ぶとき、多機能なアームレストに心惹かれることはありませんか。

  • 3D、4D、果ては7D、360°回転、2軸720°回転アームレストなど、どれが自分に合うのかわからない。
  • それぞれのアームレストがどんな用途に適しているのか知りたい。
  • そもそもアームレストは本当に必要なの?

そんな疑問を持ったまま思い込みで選ぶと、

使い勝手が悪い
思っていた使い方ができない
アームレストなんていらなかった

という結果になりかねません。
せっかく高級オフィスチェアを選ぶなら、アームレストのこともしっかり知ってから選びたいものです。

この記事では、「アームレストのメリット・デメリット」から、「最新のアームレスト事情」、「アームレストから選択する高級オフィスチェア」まで解説します。
これを読めば、あなたにアームレストが必要なのか、必要ならどんなアームレストのオフィスチェアが最適なのかを見つけることができます。

アームレストのメリット・デメリット

まずはあなた自身がアームレストを必要としているのか、そうでないのか見極めるためにアームレストのメリット・デメリットをそれぞれ3つ挙げます。

もしこれを読んでアームレストが必要ないと分かったら、残りを読む必要がなくなるため、デメリットの方からお話ししますね。

アームレストのデメリット

アームレストがあることでデメリットを感じるのはどのようなシチュエーションなのか、主な要因は次の3つです。

  • 価格が高くなる
  • 椅子が重くなる
  • 邪魔になる

価格が高くなる

アームレストの有無が選択できる場合、当然アームレスト有りのほうが価格が高くなります。

国内オフィスチェアメーカーのオカムラ、コクヨ、イトーキなどにおいて、可動アームレスト(*1)はアームレストが無いものに比べて3万円前後、固定アームレスト(*2)で2万円前後、価格が高くなります(カタログ価格の比較です)。

*1 可動アームレスト:高さや角度などの調節が可能なもの
*2 固定アームレスト:調節機能が全くないもの

3万円あれば、コスパに優れたオフィスチェアを1脚、買えてしまいますね。

椅子が重くなる

アームレストの素材(樹脂、金属)と機能にもよりますが、左右あわせて可動アームレストなら2.5~3kg程度、固定アームレストなら1~2kg程度、重くなります。

椅子が重くなると普段の離着席やちょっとした移動にも影響するため、頻繁に席を立つ人にとっては深刻なデメリットになります。

Chairman

椅子の重さはカーペットなどの上で使う際に特に感じやすいですが、フローリングなどの固い床の上であれば、比較的気になりません。環境を整えるのも良い方法です。

邪魔になる

この項目は色々シチュエーションがあるため、大きく4つに分けました。

離着席が頻繁な場合、邪魔になる
離席時に邪魔になるアームレスト
離席時に邪魔になるアームレスト(写真例:エルゴヒューマン プロ2 オットマン)

離着席が頻繁な場合は、アームレストをかなり邪魔に感じるかもしれません。これはアームレストがあると、椅子に正面からしかアクセスできなくなるためです。

アームレストさえなければ、斜めでも横からでも椅子に座ることができるため、普段アームレストの無い椅子に座り慣れていると、けっこう邪魔に感じます。

収納時に机と干渉することがある
机と干渉するアームレスト(アーロンチェア リマスタード)
机と干渉するアームレスト(写真例:アーロンチェア リマスタード)

アームレストのあるオフィスチェアは机の下に収納する際、机とアームレストが干渉することがあります。特に可動アームレストを机の高さに合わせて使用している場合、調節し直さないと机にぶつかってしまいます。

また引き出し付きの机の場合、アームレスト高さを最低にしても収納できないことがあります。

作業によっては邪魔になる

作業(楽器演奏など)によってはアームレストの存在自体が邪魔になることがあります。椅子をどんなシチュエーションで使いたいか、しっかりイメージできていないと思わぬところでアームレストと干渉して、想定していた使い方ができないことがあります。

取り回し時に気を遣う

アームレストのついたオフィスチェアは横幅が大きくなり、スペースをとるようになります。結果、部屋で使うのに圧迫感が出たり、周りの家具にアームレストが干渉して気軽に動かすことができなくなることがあります。

アームレストが無くて良い人のまとめ

オフィスチェアを気軽に使いたい人にとって、アームレストは無いほうが軽くて動かしやすく、使い勝手が良くなることが多いです。アームレストさえなければ、価格も抑えられ、椅子自体の重さも軽くなります。有効活用しないようならアームレスト無しのオフィスチェアを選択するのは賢い判断です。

気軽に使いたいけどアームレストも使いたいという人は、アームレストを跳ね上げられる仕様のものを検討するのも手です。また用途は限られますが、机に取り付けるタイプのアームレストというものもあります。中には従来のオフィスチェアのアームレストにはない、腕の動作に追従して自由に動くものもあり、使わないときは簡単に取り外しできる点も魅力的です。

アームレストの無いオフィスチェア

日本の大手オフィスチェアメーカー3社(オカムラ、コクヨ、イトーキ)については、一部(レビューしたコンテッサ セコンダなど)を除いてほとんどのオフィスチェアでアームレスト無しを選択することができます。

海外メーカーのエルゴヒューマン プロ2、アーロンチェア リマスタード、リープ V2、ジェスチャーは、現状アームレストの無いタイプの一般販売は無いようです。

ただ過去バージョンや法人用にアームレスト無しのバージョンがあったりしますので、中古という手段でなら個人でも手に入る可能性はあります。

アームレストのメリット

アームレストがあったほうが良い人は、利用目的が明確な人と、アームレストがあることでメリットを感じる人です。

では具体的にメリットを感じるのはどのようなシチュエーションなのか、主な要因を3つお話しします。

  • 離着席時のサポートになる
  • 体の負担の軽減
  • デザイン的な見栄え

離着席時のサポートになる

アームレストを使った離着席(写真例:エルゴヒューマン プロ2 オットマン)
アームレストを使った離着席(写真例:エルゴヒューマン プロ2 オットマン)

足腰に不安を抱えていている人にとって、アームレストの存在はかなり助かります。離着席の際にアームレストを腕でつかんで体を支えられると、ひざや腰を曲げた時の負担が格段に軽くなるからです。足腰に問題ない人にとっても、アームレストは椅子の離着席を補助するのに大いに役立ちます。

このような用途には固定式、もしくは上下調節のみのしっかりしたアームレストがおすすめです。軽い力で動くアームパッドの調節(水平角度調節、前後左右のスライド調節)が付いたものや、アームレスト自体のガタツキが大きいものは、あまりおすすめできません。体重をかけた際に動いて、体のバランスを崩す可能性があるためです。

体の負担の軽減

アームレストを使ったリクライニング(写真例:エルゴヒューマン プロ2 オットマン)

アームレストに腕を乗せる姿勢は、肩や腰をはじめとする体の負担を軽減することが期待できます。

例えば、背もたれを倒してリラックスする際に腕を乗せるアームレストがあれば、より脱力して体を休めることができます。

タイピングの際に腕をサポートできれば、肩や腰から腕の重さ分の負担を軽減しやすくなります。

また体と机に一定の距離をとることができるため、ディスプレイとの距離も適切に保つことができ、目の負担の軽減も期待できます。

アームレストの使用でできる机の上のスペースとディスプレイまでの距離のの余裕の比較
アームレストの使用でできるスペースの余裕の比較

スマホ操作や読書の際、背もたれにしっかり体を預けた状態で腕やひじをアームレストに置ければ、操作や読書に集中できます。

アームレストを使った読書とスマホ操作(写真例:エルゴヒューマン プロ2 オットマン)
アームレストを使った読書とスマホ操作(写真例:エルゴヒューマン プロ2 オットマン)

デザイン的に見栄えがする

アームレストの有無によるデザイン的印象の比較(写真例:エルゴヒューマン プロ2 オットマン)

上の写真はエルゴヒューマン プロ2 オットマンのアームレストの有無を比較したものですが、アームレスト無しの写真は画像の加工によりアームレストを消しています。

個人の感覚にもよりますが、オフィスチェア自体の見栄えとして、やはりアームレストのある椅子のほうが格調高く感じられます。

現存する世界最古の椅子といわれる「ヘテプヘレスの椅子」にもしっかりアームレストが付いています(ヘテプヘレスは紀元前2600年頃のエジプト第4王朝時代の王妃だそうです)。

ちなみにアームレストには、椅子だけだなく座った人を立派に見せるという権威性の演出にも効果があります。これは腕をアームレストに乗せることで肩のラインを少し上げ、胸を張る姿勢にすることができるため、座った人が堂々としているように見えるためです。

アームレストの使用による姿勢と肩のラインの違い(写真例:エルゴヒューマン プロ2 オットマン)
アームレストの使用による肩のラインの違い(写真例:エルゴヒューマン プロ2 オットマン)

自宅で使うのに一体誰に権威を示すのか?という問題はさておき、私はアームレストのある椅子に腕を置いて座るととても気分が上がります。この姿勢を実現する場合、固定アームレストは高さが低すぎることが多いため、高さ調節のできる可動アームレストをおすすめします。

座った時よりも椅子自体のシルエットを重視し、アームレストにすっきりしたデザインを求めるなら、固定アームレストがおすすめです。

アームレストが有ったほうが良い人のまとめ

アームレストは使いたい用途の姿勢をしっかり支えられるかどうかを考えて、目的に合ったものを選ぶことが満足感につながります。

上記だけがアームレストの用途ではありませんが、あまりはっきりした使い道がない場合は、思い切ってアームレストの無いものを選ぶのも賢いオフィスチェア選びの一つです。

最新アームレスト事情

ここでは現在のオフィスチェアのアームレストがどのようになっているのかをお話しします。

アームレストの追従タイプ

アームレストを知るうえでまず理解しておきたいのが、アームレストの追従タイプです。これは、リクライニングの際にアームレストがどう動くのかの違いになり、下記の2つに分類されます。

  • 座面追従タイプ
  • 背もたれ追従タイプ

座面追従タイプのアームレスト

座面追従タイプ(座面の角度に追従するタイプ)のアームレスト(写真例:シルフィー)
座面追従タイプのアームレスト(写真例:シルフィー)

アームレストのアームの付け根が座面フレームに固定されているもので、座面と一緒に動きます。

高級オフィスチェアの多くはリクライニングの際、背もたれが倒れると同時に座面も少し後方へ傾きます(例外もあります)。その時、座面は背もたれほど傾かず、アームパッドも机面とあまり角度が変化しないため、背もたれを倒した後傾姿勢でタイピングするのに向いています。

背もたれ追従タイプのアームレスト

背もたれ追従タイプ(背もたれの角度に追従するタイプ)のアームレスト(写真例:エルゴヒューマン プロ2 オットマン)
背もたれ追従タイプのアームレスト(写真例:エルゴヒューマン プロ2 オットマン)

アームレストのアームの付け根が背もたれフレームに固定されているもので、背もたれと一緒に動きます。このため、リクライニングの際にアームレストが体から離れてしまうということがなく、腕の乗せたまま自然な体勢でリラックスできます。

アームレストの調節機能

ここでは可動アームレストの特徴についてお話しします。

可動アームレストは固定アームレストに比べ高価で重く、ものによってはガタツキが大きくなりがちです。その一方で様々な調節ができるものもあり、幅広いユーザーにジャストフィットしやすいというメリットがあります。

可動アームレストは3Dや4Dといった表現をされることがあります。これはアームレストが何種類の調節ができるかを表していて、「D」はDimension(次元)の略といわれています。他にも様々な種類がありますが、ここからは具体的に詳しくご紹介します。

1Dアームレスト

調節機能が1つで、主に上下調節機能のついたアームレストです。

腕を乗せた際に、肩から腕の重みを感じなくなる程度の高さに調節できるか、確認しましょう。用途によっては最大高さに調節しても高さが足りないと感じるものも多いので注意が必要です。

アームレストの上下調節(写真例:エルゴヒューマン プロ2 オットマン)
アームレストの上下調節(写真例:エルゴヒューマン プロ2 オットマン)

2Dアームレスト

調節機能が2つで、主に1Dにアームパッドの角度調節(水平面内)機能を追加したアームレストです。

アームパッドの角度はタイピングや読書の補助に役立つため、欲しい角度になるかしっかり確認しましょう。特に内側に30°以上傾くものをおすすめします。

アームパッドの角度調節(写真例:エルゴヒューマン プロ2 オットマン)
アームパッドの角度調節(写真例:エルゴヒューマン プロ2 オットマン)

3Dアームレスト

調節機能が3つで、主に2Dに前後調節機能の付いたアームレストです。

前後調節機能は、机と体の距離感を調節できるため、ディスプレイとの距離を保ちたい人や机周辺のスペースが限られている人には特に役立つ機能です。

アームパッドの前後調節(写真例:エルゴヒューマン プロ2 オットマン)
アームパッドの前後調節(写真例:エルゴヒューマン プロ2 オットマン)

4Dアームレスト

調節機能が4つで、主に3Dにアームパッドの左右幅の調節機能が付いたアームレストです。

左右幅調節機能は、左右のアームレスト間の距離を調節できるため、タイピングや読書の際に役立ちます。ただ、左右幅調節機能は調節範囲が狭いものが多く、微調節の範囲にとどまりがちです。

アームパッドの左右調節(写真例:エルゴヒューマン プロ2 オットマン)
アームパッドの左右調節(写真例:エルゴヒューマン プロ2 オットマン)

5D以上のアームレスト

5D以上を謳っているアームレストはかなり「D」定義があいまいになってきます。調節機能の数え方がメーカー独自の解釈になってくるため、注意が必要です。

5D以上のアームレストを検討する際は数字よりも、必要な機能があるかその機能を本当に使うか、しっかり確認しましょう。

以下に5D以上のアームレストを持つオフィスチェアの一部を紹介します。

5Dアームレスト6Dアームレスト7Dアームレスト
メーカー
/ブランド
FlexiSpot
(フレキシ
スポット)
SIHOO
(シホー)
Rasical
(ラシカル)
商品名C7 Morpher
(モルファー)
DORO C500
DORO C300 Pro
DORO C300
Rasical Chair
(ラシカルチェア)
上下
前後*3
左右*3*3*3
アームパッド
回転*1
アーム軸まわり
回転*1
アームパッド
仰角*2
アームパッド
俯角*2
*4

*1:2軸回転アームパッド参照
*2:上下角度調節アームパッド参照
*3:アームパッド回転とアーム軸まわり回転の複合調節
*4:アーム軸まわり回転によりアームパッドを180°反転させて調節

2軸回転アームパッド

2軸回転アームパッドはアームパッドの回転軸が2つあり、その軸が初期位置で前後にずれています。これによりアームパッドの前後左右の調節を可能にしています。

軸のずれ具合により調節幅が大きく取れるため、アームレスト幅をしっかり狭めたい人に合うかもしれません。

参考までにFlexiSpotのC7 Morpherの2軸回転アームパッドの動画を共有しておきます。

5D以上のアームレストで例として挙げたものはすべて2軸回転アームパッドを採用していますが、他にはEastForce(イーストフォース)のMonster Lumbirt2.0(モンスターランバート)も2軸回転アームパッドを採用しています。

上下角度調節アームパッド

アームパッドの上下角度を調節できる機能で、用途は主にスマホ操作や読書時の腕のサポートに使えます。参考までにRasical Chairの動画を共有しておきます。

このタイプの調節はアームパッドの前半分が上に折れ曲がるものと、アームパッド全体の角度が動くものがあります。

前者は上向きにしか曲がりませんが、曲がらない半分のパッドにひじを乗せて使うことができます。後者は、上向き(仰角)にしか調節できないものや、180°回転させて下向き(俯角)に調節することができるものがあります。これは背もたれ追従タイプの場合、アームパッドの傾きを軽減するため後傾姿勢時のタイピングに役立ちます。

アームパッドの回転により俯角に調節できるアームレスト
アームパッドの回転により俯角に調節できるアームレスト

ご紹介したDORO C500、DORO C300 Pro、DORO C300、Rasical Chairは、いずれもアームパッド全体が傾くタイプです。

アームパッドの上半分が折れ曲がるものは、HBADA(ハバダ) E3 ProやE3 Ultraなどがあります。

アームレストから選ぶ高級オフィスチェア

ここでは目的別におすすめできるオフィスチェアをご紹介します。ただお話しできるのはこれまでレビューしたオフィスチェアが中心となります。

離着席の補助にアームレストを使いたい

この用途に使うアームレストのポイントは2つです。

  • 固定アームレスト
  • 動きがかためでガタつかない可動アームレスト

特にしっかり体を支えてくれる固定アームレストがおすすめです。ただ可動アームレストでも割としっかりしているものがありますので、それもご紹介します。

固定アームレスト

離着席の補助に最もおすすめできるのが、固定アームレストです。

固定アームレストは位置調節ができない代わりに、しっかり椅子に固定されているため、手でつかんだ際に不用意に動いて体のバランスを崩すリスクが小さくなります。ガタツキも少ない傾向にあるため、補助として安心感があります。

固定アームレストを選ぶならオカムラ、コクヨ、イトーキの固定アームレストがおすすめです。いずれのメーカーもほとんどの商品で、固定アームレストを選択することができます。

動きがかためでガタつかない可動アームレスト

可動アームレストを選ぶなら、前後左右のスライド調節と角度調節の動きが固めのものを選びましょう。特にアームパッドの調節機能が付いたものは商品によって動きの固さやガタツキが大きく異なるので注意が必要です。

私がレビューして確かめた中で、動きが固めでガタツキが少ないのは次の4脚です。

  • リープ V2
  • ジェスチャー
  • アーロンチェア リマスタード
  • エルゴヒューマン プロ2 オットマン
リープ V2

リープ V2のアームレストはガタツキも比較的小さく、アームパッドのスライド機構が独特でわりと固めのため、他のオフィスチェアに比べて軽く動くことがありません。

椅子自体にリクライニングの角度固定がなく離席時に必ず背もたれが戻るため、自然な体勢で離席できます。おかげで離着席時にアームパッドをスライドする方向に力が働きにくいため、アームパッドが不用意に動かないという利点があります。

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ジェスチャー、アーロンチェア リマスタード

アームの動き全体が若干固めでガタツキも小さいため、体勢が悪くない限り、意図しない動きをすることは少ないといえます。

リープ同様、椅子自体にリクライニングの角度固定がないため、 離着席時にアームパッドをスライドする方向に力が働きにくく、アームパッドが不用意に動かないという利点があります。

【ジェスチャー】360°回転アームだけじゃない!すべての魅力を徹底レビューこの記事では、スチールケースのジェスチャーを3か月以上、毎日徹底的に座り倒し、その基本性能、良い点/気になる点、どんな人に向いているのか/向いていないのかを解説します。 この記事を読むと、実際の使用感とジェスチャーがあなたの求めているオフィスチェアかどうかが分かります。...
アーロンチェア リマスタード
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エルゴヒューマン プロ2

アームの動き全体が若干固めで粘りがあり、ガタツキもほとんどありません。

但し深く背もたれを倒して固定した状態での離着席時に、アームパッドに手をかけると、パッドが後ろにスライドしてしまうことがあるため注意が必要です。

離席の際は、予めアームパッドを最も後ろに調節しておくか、リクライニングの固定解除しておくと、ずれが発生しないため安心です。

エルゴヒューマン プロ2オットマン
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離着席の補助で注意したいオフィスチェア

初代エルゴヒューマン、コンテッサ セコンダ

特に初代エルゴヒューマンは、アームパッドのスライド方向と角度の調節が軽いです。背もたれを深く倒して固定した状態では、離席の際アームパッドをつかんで起き上がろうとすると、アームパッドが後ろにスライドすることがあります。

つかまり立ちする際にはアームレストの可動範囲を見極めることが大切です。エルゴヒューマン プロ2と同じように、離着席の際は予めアームパッドを最も後ろに調節しておくか、リクライニングを固定解除しておきましょう。背もたれが立った状態であれば、アームレストをスライドさせる方向にはあまり力がかからないため、思わぬ方向に動きにくくなります。

離着席の補助にアームレストを使いたい場合のまとめ

固定アームレストのオフィスチェアがベストです。離着席の補助以外にも目的があるなら、可動アームレストの中から動きが固めで、ガタツキの小さいものを選びましょう。背もたれを倒した角度で固定したままの離着席を避けるのも効果的です。

リラックス時にアームレストを使いたい

リラックス時にアームレストを使いたい場合は次の3つがポイントです。

  • 背もたれに追従するアームレスト
  • 調節できるアームレスト
  • 感触の良いアームパッド

主に背もたれを深く倒してリラックスする際に、腕をしっかり支えてくれることが重要です。これにはアームレストが背もたれと一緒倒れてくれる背もたれ追従タイプが有利です。

また固定アームレストは必ずしも欲しい位置にアームレストが来るとは限らないため、可動アームレストが無難です。

リラックスの際はアームパッドが柔らかいほうがラグジュアリー感も高まります。

背もたれに追従するアームレスト

背もたれ追従タイプのアームレストは背もたれと一緒に動くため、背もたれを倒した際にアームレストが上半身から離れず、一定の姿勢のままリクライニングできます。レビューした中では、エルゴヒューマン シリーズ、コンテッサ セコンダ、アーロンチェア リマスタードが該当します。

背もたれ追従タイプのアームレストを持つオフィスチェアの例(コンテッサ セコンダ、初代エルゴヒューマン プロ オットマン、エルゴヒューマン プロ2 オットマン、アーロンチェア リマスタード)
背もたれ追従タイプのオフィスチェアの例
コンテッサ セコンダ
万能の高級オフィスチェアを体験!【コンテッサ セコンダを徹底レビュー】この記事では、コンテッサ セコンダを55日間、毎日徹底的に座り倒し、その基本性能、良い点/気になる点、どんな人に向いているのか/向いていないのか、実際の使い方と購入検討方法を解説します。 この記事を読むと、実際の使用感とコンテッサ セコンダがあなたの求めているオフィスチェアかどうかが分かります。...

座面追従タイプのオフィスチェアを選んでしまうと、背もたれを倒したときにアームレストが上半身から離れてしまうため、リラックスするときに自然な姿勢で腕を乗せることが難しくなります。

座面追従タイプのアームレストを持つオフィスチェアの例(シルフィー、リープ V2、ジェスチャー)
座面追従タイプのオフィスチェアの例

調節できるアームレスト

リラックスの場合、大体の位置が調節できれば良いため、それほど多機能が要求されるわけではありません。背もたれ追従タイプであれば、上下調節だけでも概ね満足できると思います。レビューした中の背もたれ追従タイプであれば、エルゴヒューマン シリーズ、コンテッサ セコンダ、アーロンチェアのどれでも問題ありません。

アームレストの高さによるリラックス姿勢の違い(写真例:エルゴヒューマン プロ2 オットマン)
アームレストの高さによるリラックス姿勢の違い(写真例:エルゴヒューマン プロ2 オットマン)

感触の良いアームパッド

腕の当たり具合にもよりますが、柔らかくリッチなパッドに越したことはありません。

レビューしたオフィスチェアのアームパッドは、硬いものから柔らかいものまでさまざまですが、リラックス目的ならどれを選んでも問題ありません。あえて特に感触が良いものを選ぶなら、アーロンチェア リマスタードエルゴヒューマン プロ2が断トツの心地よさでおすすめできます。(各オフィスチェアのアームパッドの柔らかさ比較動画はこちら。)

リラックスするときに注意したいオフィスチェア

座面追従タイプ

座面追従タイプはアームレストが座面と一緒に動くため、背もたれを倒した際に座面がそれほど傾かないシンクロリクライニングのオフィスチェアは、アームレストが上半身から離れる傾向があります。結果、深くリクライニングした際にアームレストが遠くなり、リラックスしたいときに腕を置きにくく感じるかもしれません。

レビューした中ですと、リープ V2ジェスチャーシルフィー(写真はこちら)が該当します。

椅子自体がリラックスに向いていないもの

アームレストが直接関係するわけではないですが、椅子自体がリラックス姿勢にあまり向いていないものもあります。常に姿勢を正す傾向にあるアーロンチェア リマスタード、ジェスチャー、リープ V2は、リクライニングを深く倒して長時間過ごすのにはあまり向いていないといえます。

リラックス時にアームレストを使いたい場合のまとめ

リラックスに使いたいなら、背もたれ追従タイプ可動アームレストがおすすめです。アームパッドの柔らかさ肌触りも確認しましょう。

タイピング時にアームレストを使いたい

タイピングにアームレストを使うと4つのメリットがあります。

  • 机の上を広く利用できる
  • ディスプレイとの距離をとりやすくなる
  • 首、肩、腰の負担を軽くできる
  • 胸を開いて姿勢よくタイピングできる

タイピングの補助として利用する場合、腕を机に乗せる必要が無くなるため、机の上を広く利用できます。またディスプレイとの距離もとりやすくなるため、目の負担軽減にも役立ちます(写真はこちら)。

適切に調節できれば、アームレストが腕を支えるため肩や首が痛くなることなくタイピングできます。なんなら腕の重さ分、腰の負担も軽くなります。

姿勢からわかるアームレストの有無による負担軽減の比較(写真例:ジェスチャー)
アームレストの有無による負担軽減の比較(写真例:ジェスチャー)

ちなみに人間の腕の重さは片腕で体重の6~8%といわれているため、体重60kgの私なら両腕で7.2~9.6kgくらいになります。もちろんアームレストが無くても机に乗せられるなら、数字ほどの差が出るわけではありません。しかし、アームレストに腕を乗せた方が肩が軽くなるうえ、胸を開いて姿勢よくタイピングできることは間違いありません。

タイピングに使いたいときのアームレストのポイントは次の3つです。

  • 可動アームレスト
  • 感触の良いアームパッド
  • 座面追従タイプ

タイピングに使用するには姿勢にフィットする位置で腕を支えることが最重要です。上下、角度はもちろん、左右幅と前後の調節もあると安心感があります。ただ、どんなに多機能であっても調節範囲が自身の要求する位置を含んでいないと意味がありません。必ず試座してタイピング姿勢を確かめましょう。

可動アームレスト

可動アームレストの調節

アームレストの最新事情でもお話しした通り、可動アームレストには数多くの種類があります。タイピングの補助にアームレストを使いたい場合は、最低でも上下と角度の調節ができる2D以上のアームレストを選んだほうが良いでしょう。

上下調節
タイピング補助に使用する場合、まず肩に腕の重さを感じなくなる程度の高さにアームレストを調節します。次にアームパッドと机を同じ程度に合わせる必要があります。この際調節するのは座面高さ、もしくは机の高さです。ここでアームレストの高さ変えてしまうと、せっかくの腕の補助が台無しになるので注意しましょう。

アームレストの高さ調節(写真例:エルゴヒューマン プロ2 オットマン)
アームレストの高さ調節(写真例:エルゴヒューマン プロ2 オットマン)

・角度調節
タイピングの際、腕は「ハ」の字になるため、この機能がないと腕全体をアームレストに乗せることが難しくなります。また大きく内側に回転できると、次の項目でお話しするアームレストの左右幅をカバーすることもできます。可能なら内側に30°以上傾くアームパッドを選ぶと、かなりタイピングに使いやすくなるはずです。

アームパッドの回転調節を行ったタイピング姿勢(写真例:エルゴヒューマン プロ2 オットマン)
アームパッドの回転調節を行ったタイピング姿勢(写真例:エルゴヒューマン プロ2 オットマン)

・左右幅調節
自然なタイピング姿勢をとった時、アームレストの左右幅が広すぎると感じる方も多いのではないでしょうか。

実際、多くのオフィスチェアのアームレスト左右幅(アームパッドの角度変更なしの状態)は、内側距離で45~50cmくらいが一般的です。一方、肩幅は身長のおよそ1/4といわれているため、下記の表のようになります。

身長 [cm]肩幅 [cm]
15037.5
16040.0
17042.5
18045.0
19047.5

タイピングにおけるアームレストの左右幅は、その人の肩幅と同じくらいが丁度良いと考えると、アームレスト幅が狭めの45cmでも身長180cm以下の人にとってはかなり広めに作られていることが分かります。

アームパッドの左右調節ができるオフィスチェアの多くは標準位置から内側に片側1cm動く程度ですので、アームレストの左右幅が45cmだったとしても左右の調節幅で43cmとなり、これだけでベストポジションに持ってくることはなかなか難しいです。

下の写真はエルゴヒューマン プロ2 オットマンでアームパッドの回転調節をしない状態です。姿勢的にかなり厳しいことが分かります。

アームパッドの回転調節をしない状態のタイピング姿勢(写真例:エルゴヒューマン プロ2 
オットマン)
アームパッドの回転調節をしない状態のタイピング姿勢(写真例:エルゴヒューマン プロ2
オットマン)

結果、先にお話ししたアームパッドの角度調節で広すぎる左右幅をフォローすることになります。ただし、例外としてリープ V2と2軸回転アームパッドのオフィスチェアがありますが、これは後ほどお話しします。

・前後調節
前後調節は机と体の距離を調節できるため、ディスプレイとの距離を遠目にとりたい人やお腹と机の距離をしっかりとりたい人に役立つ機能です。

アームパッドの前後調節による机との距離の比較(写真例:ジェスチャー)
アームパッドの前後調節による机との距離の比較(写真例:ジェスチャー)

アームパッドの回転調節と合わせれば、アームレストの左右幅を先端部で縮める効果もあります。

アームパッドの前後調節による左右幅の比較(写真例:ジェスチャー)
アームパッドの前後調節による左右幅の比較(写真例:ジェスチャー)

アームレストの左右幅を狭くできるオススメのオフィスチェア
アームレストの左右幅を狭くできるオフィスチェア(写真例:ジェスチャー、エルゴヒューマン プロ2 オットマン)
アームレストの左右幅を狭くできるオフィスチェア

これまでレビューした中で最もタイピングに向いているオフィスチェアはジェスチャーです。その最大の理由はアームレストを最も狭くできるからです。座面からアームパッドまでの高さは、最高位置の状態で身長173cmの私にピッタリでした。欲を言うならもう少し高く調整できると余裕があったと思います。詳細はジェスチャーのレビュー記事内の比較をご覧ください。

次におすすめできるのがエルゴヒューマンシリーズリープ V2です。

エルゴヒューマン シリーズはアームパッドを座面に対して割と高い位置に調節できるうえに、角度調節が内側60°(計測値;多くのオフィスチェアは30°程度)まで回転するため、比較的腕を乗せやすい状態に調節できます。ただアームレスト自体の左右幅が広いため、この調節はアームパッドの回転調節頼りになります。自然なタイピング姿勢という意味でジェスチャーと比べると、脇が空いてしまうところが惜しいです。

リープ V2は左右調節幅が5cm(多くのオフィスチェアは1~2.5cm程度)であるため、エルゴヒューマンよりも脇を閉めた状態でタイピングできます。具体的にはアームレストの左右幅を内側距離で39cmまで狭くできます。(左右のアームパッドは平行状態で計測。同じ状態のエルゴヒューマンプロ2は47cmくらいです。)

アームパッドを回転調節しなくても左右幅を狭くできるリープ V2
アームパッドを回転調節しなくても左右幅を狭くできるリープ V2

アームパッドを最内に回転調節すれば、32.5cmまで狭くできます。ただ座面からアームパッドまでの高さがあと少し(1~2cm)欲しいと感じました。未レビューのなかではイトーキのAct(アクト)チェアがジェスチャーのアームレストとほぼ同じ機能を持っているためおすすめです。ただアームレストの最狭幅はジェスチャーには少し及びません。

注目の2軸回転アームパッド

最近注目のアームレストが2軸回転アームパッドのオフィスチェアです。これはアームパッドの回転軸が2つあるもので、うまく調節すると左右のアームレスト幅をかなり狭く調節できるメリットがあります。

特にEastForceのMonster Lumbirt(モンスターランバート) 2.0はアームパッドを平行にした状態で内幅33cm(多くのオフィスチェアは45~50cm程度、ジェスチャーで29cm(最高位置でアームパッドを平行にした状態で計測))を打ち出しておりかなり画期的です。

同じ2軸回転のアームパッドは下記のオフィスチェアにも採用されており注目が集まっています。

  • C7 Morpher(モルファー)/FlexiSpot(フレキシスポット)
  • DORO C500、DORO C300 PRO(ドロ)/SIHOO(シホー)
  • Rasical Chair(ラシカルチェア)/Rasical(ラシカル)

ただ、2軸回転アームパッドは従来のものに比べて動きが複雑なため、離着席時のつかまり立ちなどで思わぬ動きをしてしまう可能性があります。動きの固さにもよりますが、体を支える時には注意が必要です。

座面追従タイプ

タイピングを後傾姿勢で行う人は、背もたれを倒した際にアームパッドの上下角度も一緒に大きく傾いてしまうとタイピングが難しくなります(下の写真のエルゴヒューマンプロ2オットマン参照)。このような場合、アームレストの付け根が座面に固定された座面追従タイプのアームレスト(下の写真のリープV2参照)を選ぶと、アームレストの傾きが抑えられるため安心です。

座面追従タイプと背もたれ追従タイプのアームレストの比較(写真例:リープ V2とエルゴヒューマンプロ2オットマン)
座面追従タイプと背もたれ追従タイプのアームレストの比較

これは多くの高級オフィスチェアがシンクロリクライニングという背もたれの倒れる角度に対してより小さな角度で座面が傾くシステムを採用しているからです。

ちなみにアームパッドの俯角(水平よりも下の角度)に調節できるタイプ(Rasical Chairなど)は、背もたれ追従タイプであってもこの問題をカバーできる可能性があります。イメージはこちら

座面追従タイプのオフィスチェア

リープ V2

リープ V2の座面は前の写真にある通り、リクライニングしてもほとんど傾きません。したがって座面に追従するアームレストもほとんど傾かないため、どんなに背もたれを倒した状態でもアームパッドはほぼ水平なままです。これによりタイピング中に頻繁に背もたれの角度を変えても腕が動かず、タイピングを継続することができます。

・ジェスチャー

ジェスチャーのリクライニング影響されにくいアームレストの動き(写真例:ジェスチャー)
リクライニング影響されにくいアームレストの動き

ジェスチャーの座面は上の写真のとおりリクライニング時に少し傾きますが、その角度は控えめなためタイピングへの影響は小さいです。ただしタイピング中に背もたれの角度を変えると、アームレストが机から少し離れてしまうため、さすがに少し打ちづらいです。角度を変えるときは机までの距離も一緒に微調整しましょう。

背もたれ追従タイプのオフィスチェア

エルゴヒューマン シリーズ、コンテッサ セコンダ、アーロンチェア リマスタード

いずれも背もたれの角度に合わせてアームレストが傾くため、一定以上傾けるとタイピングが難しくなります。

机面と角度差が大きくなる背もたれ追従タイプ(写真例:エルゴヒューマン プロ2 オットマン)
机面と角度差が大きくなる背もたれ追従タイプ(写真例:エルゴヒューマン プロ2 オットマン)

感触の良いアームパッド

せっかく丁度良い位置にアームレストを調節できても、ひじがアームパッドに当たって痛くなるようでは快適なタイピングはできません。ここでは各オフィスチェアのアームパッドの使い心地についてお話しします。

柔らかくてリッチなアームパッド

柔らかくて分厚いアームパッドなら、ひじが当たって痛くなるようなことはまずありません。レビューしたオフィスチェアでは、アーロンチェア リマスタードエルゴヒューマンプロ2が最も分厚く柔らかいアームパッドで、両者甲乙つけがたい出来栄えです。

クッションは標準で形が工夫されたアームパッド

次に快適だったのはリープ V2と、コンテッサ セコンダです。この2脚のアームパッドは分厚くはありませんが、しっかりクッションが入っています。両者ともパッド上面が少し丸みを帯びていて、うまくひじがアームパッドに強く当たらないように工夫されています。

やや硬めのアームパッド

アームパッドが少し硬めだったのはジェスチャーです。レビューした中では最も固いアームパッドですが、クッションはしっかりしたものが入っていて底突きするほど薄くはないため、タイピング時にひじが痛くなるようなことはありませんでした。

クッション薄めのアームパッド

初代エルゴヒューマンのアームパッドは表面の柔らかさは最も柔らかいのですが、クッションが薄めでパッド上面が平らであるため、タイピングが長時間になると少しひじに違和感を感じました。

タイピングのサポート時に注意したいオフィスチェア

タイピングにアームレストを使用する場合、位置を細かく調節するため、調節のしやすさは重要です。レビューしたオフィスチェアはほとんど問題ありませんでしたが、2点だけ気になるところがありましたのでご紹介します。

・エルゴヒューマン プロ2
初代は問題ないのですが、プロ2は高さ調節が一方通行のラチェット式になったため途中で高さを低くする調節ができません。高さを低くするためにはいったん最大高さまで上げてから、最低高さに戻して調節しなおす必要があります。

高さ調節の細かさはオフィスチェアのなかでもかなり細かいのですが、思った位置に微調節するのが難しいタイプです。その細かさのせいで左右同じ高さに合わせるのも難しく、印でもつけない限り感覚頼みになってしまいます。

・アーロンチェア リマスタード
高さ調節のロックレバーが背面側についているため、操作性が良いとは言えません。無段階調節のため、調節範囲内ならどんな高さにも合わせられる利点があるだけに惜しいところです。左右の高さを合わせるのも基準がないため難しいです。

アーロンチェア リマスタードのアームレスト高さ調節ロックレバー
アーロンチェア リマスタードのアームレスト高さ調節ロックレバー

タイピング時にアームレストを使いたい場合のまとめ

タイピングに使用するには姿勢にフィットする位置で腕を支えることが最重要です。上下、角度はもちろん、左右幅と前後の調節もあると安心感があります。ただどんなに多機能であっても調節範囲が自身必要とする位置に調節できないと意味がありません。必ず試座してタイピング姿勢を確かめましょう。

スマホ操作や読書をアームレストでサポートしたい

スマホ操作や読書でのアームレストのポイントは次の3つです。

  • 可動アームレスト
  • 背もたれ追従タイプ
  • 柔らかいアームパッド

可動アームレスト

アームレストを活用した読書とスマホ操作

タイピングほど配置に細かい調節は必要ありませんが、高さはやや高めに調節できる方が肩の負担が軽くなり姿勢よく使えます。またアームパッドの回転角度(水平面内)も30°以上あったほうが、腕を乗せやすいはずです。

レビューした中にはありませんが、Rasical Chairのようにアームパッドの上下角を調節できるアームレストはひじの上下角度を支えてくれるため、スマホ操作や読書にはうってつけの機能になります。

アームパッドの上下角を調節できるアームレストは他にもSIHOOのDORO C500、DORO C300PROやアームパッドを半分折り曲げることのできるHBADAのE3 Pro Ergonomic Office Chairなどがあります。

背もたれ追従タイプ

背もたれを倒した状態で、アームレストを活用した読書とスマホ操作

リラックスがてら、背もたれを倒してスマホ操作や読書をすることも多いと思います。そんな時は背もたれ追従タイプのアームレストがおすすめです。

このタイプのアームレストなら背もたれにもたれている状態でも体からアームレストが離れないため、丁度良い位置に調節できます。逆に座面追従タイプを選んでしまうと、リラックス姿勢でアームレストに腕を置きにくくなってしまいます。

背もたれ追従タイプと座面追従タイプのリクライニング時におけるアームレスト位置の違い
背もたれ追従タイプと座面追従タイプのアームレスト位置の違い

柔らかいアームパッド

ひじを立てて使いたい場合は、アームパッドが柔らかく厚みのあるものが良いです。特に時間が長くなるほどその差は大きくなります。おすすめできるのは、圧倒的にアーロンチェア リマスタードエルゴヒューマン プロ2のアームパッドです。ひじを立てずに使用するなら、次に柔らかいコンテッサ セコンダ、リープ V2になります。

アープパッドの柔らかさで注意したいオフィスチェア

初代エルゴヒューマンはクッションの厚みが薄く、ジェスチャーはやや硬めのアームパッドのため、ひじを立てて使うにはあまりおすすめしません。

スマホ操作や読書に使いやすいアームレストのまとめ

椅子に座ってスマホ操作をする場合、机にひじを置くよりアームレストにひじを置いた方が前かがみになりにくく、圧倒的に姿勢が良くなります。またリクライニングを倒して操作する場合は、その状態でもアームレストに腕を乗せられる背もたれ追従タイプのアームレストが必須です。

ひじを立てて使用する場合は、ひじが痛くならないようアームパッドの厚みと柔らかさも確認しましょう。ただし、これはご自身でクッションなどを用意すればリカバリー可能です。読書の場合も大体同じことが言えます。

デザイン的にアームレストが欲しい

デザインを重視するなら、それぞれの好みに合わせて選ぶしかありません。ただ、デザインの次に優先順位が高い項目を考えておくと、迷ったときの決め手になるかもしれません。これまでレビューしたオフィスチェアを参考までに少しだけ分類しておきます。

スマートなアームレスト:ジェスチャー、初代エルゴヒューマン、リープ V2
スタイリッシュなアームレスト:コンテッサ セコンダ
リッチなパッドのアームレスト:アーロンチェア リマスタード、エルゴヒューマン プロ2

高級オフィスチェアのアームレスト比較(写真例:アーロンチェア リマスタード、リープ V2、ジェスチャー、初代エルゴヒューマン プロ オットマン、コンテッサセコンダ、エルゴヒューマン プロ2 オットマン)
高級オフィスチェアのアームレスト比較

アームレストで椅子の調節を操作したい

アームレストに付随したレバーで椅子の調節操作をしたい場合は、私の知る限りではオカムラのコンテッサ セコンダALGO Chair Proの2択です。以前にはオカムラのサブリナでスマートオペレーションバージョンが販売されていましたが、現在は中古市場にしか無いようです。

この機能は思った以上に便利で、レビューした際にすっかり気に入ってしまいました。もっと多くの椅子に広まってほしい機能です。

アームレストのまとめ

ここまでアームレストについて解説してきましたが、お知りになりたいことに応えられたでしょうか。

アームレストは必要のない人にとっては割と邪魔な存在になりかねません。しかし明確な目的があるなら、なくてはならない相棒になります。

オフィスチェア選びは決して安い買い物ではありませんので、アームレストについても理解を深めたうえで検討いただければと思います。

以上、最後まで読んでいただきありがとうございます。皆さんが魅力的なオフィスチェアに出会えることを願っています。