座面から選ぶ高級オフィスチェア【用途に合った座り心地を選ぶには?】


今あなたが座っている椅子の座り心地、お尻が痛かったり、フレームが太ももに当たったり、暑かったり寒かったり、何かしら不快なところはありませんか。
その原因、ひょっとすると「座面選びに失敗しているから」かもしれません。
もちろん長年使ってきた座面が劣化して、クッションやメッシュが弱くなっている可能性もあります。ですが、本当にそれだけでしょうか。
実はどんな椅子にも向き不向きの用途があります。特に座面の選択を間違えると、その椅子を使っている限りずっとイマイチな気分で座ることになりかねません。
私はこれまで様々な形態の座面を持つ8脚の高級オフィスチェアを長いものは3か月、短いものでも最低1か月以上座ってレビューしてきました。中には4年以上ずっと使用しているものもあります。
この記事では定番の座面であるクッション座面とメッシュ座面の選び方と、椅子の使い方による姿勢を大きく4つに分類し、それぞれの姿勢にあった座面はどのようなものなのか解説します。
この記事を読むと座面選択の重要性、座面選びの要素、姿勢ごとにどんな座面を選べば良いのかが分かります。
座面選びの結論
この記事の結論は下記のとおりです。
座面はクッションか、メッシュか?
- 座り心地重視ならクッション(但し夏は暑い)
- 夏場の蒸れが苦手ならメッシュ(但し冬は寒い)
姿勢による座面選択
- 前傾姿勢
硬めの座面で、角度は水平付近。前傾できれば尚良し。
奥行は標準からやや浅めも可。 - 直立姿勢
硬めの座面で、角度は水平からやや後傾。
奥行は標準。
表面がお尻の形に成形されていれば尚良し。 - 浅い後傾姿勢
やや硬めの座面で、角度は前滑りしない程度に後傾。
表面はお尻が滑りにくい素材で、お尻の形に成形されたものだと尚良し。
奥行は標準からやや深めで座面幅は少し余裕を見る。 - 深い後傾姿勢
若干柔らかめの座面で、座面幅と奥行きを広めにとる。
座面角度は後傾だが、背もたれ角度とのバランスが大切。
4つの基本的な姿勢は下の写真を参考にして下さい。

それぞれの理由は後ほどお話ししますが、まずは基本となる座面選びの要素からお話ししたいと思います。
座面選びの要素
座面は人が椅子に座っている間、最も接触する時間が長く、最も体重を支える重要な部品です。
作業にあった座面を選ぶことができれば、姿勢は崩れにくく、体への負担も軽くできます。
しかし、誤った選択をすると姿勢が崩れやすく、集中力も途切れがち、悪くすると腰を痛めることも。
そもそも座面が体に合っていないと、お尻や太もも、ひざ裏を極端に圧迫したり、フレームが体に当たって痛みを感じることすらあります。
ではそんな不快感の原因は何にあるのか、下記の要素ごとに探っていきます。
座面高さ
座面高さとは、床面から椅子の座面上部までの高さのことをいいます。
ほとんどのオフィスチェアは座面高さの調節が可能となっていますが、体に合った調節ができない場合は要注意です。

高すぎる場合
お尻から太ももにかけて通常以上の圧迫が発生します。
特にかかとが浮いてしまうような状態だと、太ももには上半身+足の重さがかかるため、血行が悪くなってしまう可能性もあります。
座面前縁のクッションが硬かったり、太ももが座面フレームに干渉する場合、太ももが圧迫されて痛くなるというのはよくある話です。
ただ、他の部位に問題が無ければ、床置きのフットレストなどを利用して、ひざから下の重さを足の裏全体で支えることで軽減することができます。
太ももが座面前縁から少し浮いてしまうほど低い場合、体重がお尻に集中するため座り疲れを起こしたり、坐骨付近が痛くなったりします。
また腹部が圧迫されるため、呼吸が浅くなり緊張感を感じやすくなります。
これらの症状は座面を高くする以外に対処法が無いため、最大限に高くしても足りない場合、体に合う椅子に替えるしか方法がありません。
座布団を敷くという手もありますが、今度は背もたれが適切にフィットしなくなる可能性もあるため、おすすめの方法ではありません。
体に合った高さ
では体にあった高さはどう選べばいいのでしょうか。
基本的には座面の奥までしっかり座った直立姿勢で、かかとが床につき、ひざの角度が大体直角(90°)になると良いとされています。
これを数値化すると、身長の1/4の高さがこの高さに近いと言われています。
例えば身長173cmの私ならば、
173 / 4 = 43.3cm
が基準になります。
ただ人それぞれで体のバランスは違うため、注意が必要です。
またこの数字はお尻の「坐骨付近の高さ」になります。

オフィスチェアメーカーの座面高さの表記
各オフィスチェアメーカーが公表している座面高さの数字は、座面の頂点で計測されたものが多いです(例外もあります)。
これまで私が計測した限りでは、クッションであれば座面前縁中央付近、メッシュであれば概ね座面中央になることが多かったです。
これは先にお話しした坐骨位置に比べて、かなり前方にあります。

またクッションやメッシュの座面に座った後のたわみ(変形量)は、座る人の体重に左右されるため考慮されていません。
同様に座面昇降用のガスシリンダーの座面に座った際の圧縮分も未考慮です。
数字だけでは、体に合う座面の高さを確認できない
以上のことから「身長の1/4」と「メーカーの座面高さ表記」は、直接比べることができないことが分かります。
身長の1/4の高さは坐骨付近の高さであることに対し、メーカーの座面高さは座面中央もしくは前縁寄りのため、坐骨付近ではメーカーの数字より1~2cm程度(椅子により異なります)低くなります。

またクッションは座ると1~2cmくらい沈みます。メッシュなら4~7cmくらい沈み込むものもあります。
ガスシリンダーも座ると0.5cmくらい縮みます。(但しこれらの数字は椅子と座る人の体重により異なります。)
具体的にいうと、メーカーによる最低座面高さが45cmと表記してある場合、適正身長を逆算すると最低座面高さの4倍になるため、
45 X 4 = 180cm
となり、身長180cmより低いとこの椅子に合わないことになります。
しかし、実際には座面の坐骨付近の高さはメーカーの表記よりも1cm低く、メッシュ座面なら4cmたわみ、ガスシリンダーも0.5cm縮むとしたら、座った時の座骨付近の座面高さは、
45 – 1 – 4 – 0.5 = 39.5cm
となります。
これだと適正な身長は、
39.5 X 4 = 158cm
となり、当初は180cm必要だった身長は、実際には158cmから十分座れることになります。
しかも身長の1/4という話も、人によっては多少前後する目安的な数字です。
特にメッシュ座面は思っている以上にたわむため、メーカーの座面高さの数字は参考程度に考えて、実際に座ってみる(試座する)ことが何よりも大切です。
試座の際は背もたれを立てた状態で、ひざの角度が90°になるように調節しましょう。
詳しくは試座の記事をご覧ください。
座面広さ
座面の広さは、奥行きと幅の2つがあります。特に奥行きは椅子選びにとって最重要の寸法です。
座面奥行き
一般的には座面前縁とひざ裏の間に指2~3本入るくらいが適切といわれています。
ギリギリでも姿勢を変えないなら良いのですが、背もたれを倒すとこの距離が若干狭くなる(座面奥行きが広くなる)椅子もあるため、少し余裕を見ておいた方が良いと思います。
いずれにしても奥行きが合わない座面は、その椅子の本来の性能を発揮することができません。
それを適切にカバーする方法もほとんどないため、この寸法だけはしっかりチェックする必要があります。
特に様々な姿勢を使う人は、奥行き調節機能のあるものを選んだほうが、後々後悔する可能性は低くなります。

座面奥行きが広すぎる場合
座面の奥までしっかり座ることができず、正しい姿勢で背もたれにもたれることができません。
ぎりぎり座れたとしても、座面前縁がひざ裏に当たって血行不良を起こしかねません。
逆に座面前縁とひざ裏の間にこぶしが余裕で入るくらい隙間が空いていると、若干の座れていない感を感じ始めます。
また単純に座る面積が狭いため、お尻や太ももの圧力が十分に分散できず、座り疲れやお尻の前滑りの原因になることもあります。
座面幅
座面奥行きほど重要ではありませんが、最低限、自分のお尻をしっかり受け止めてくれる広さの物を選びましょう。
特にメッシュ座面は縁がフレームで囲まれているため、これが体に干渉すると違和感や痛みにつながりやすいです。
具体的には、左右のひざの間に両手の拳が収まる程度に足を開いて座った際、太ももがはみ出さない程度くらいは余裕を見ておきたいものです。

もしこの際に太もも裏の特定の場所に圧迫感を感じる場合は、座面形状が体に合っていない可能性があります。
この場合は他の椅子と座り比べてみましょう。
また姿勢が後傾になるにつれ、幅広のほうがリラックス感が増します。
背もたれを倒す姿勢が多い人は、少しだけ広めにとってもいいかもしれません。
座面角度
ここでいう座面の角度とは、前後方向の傾きです。スマホに「水平器」などのアプリを入れて座面中央に置くと、簡単に測れます。

大抵の座面は、水平からやや前上がりの角度が付いています。そして多くのオフィスチェアは背もたれを倒すと、座面の角度もそれに応じて変化します。

この角度が姿勢にマッチしていないと、お尻が前滑りしたり、猫背になっておなかが圧迫されて妙な緊張感が生まれたり、座面前縁が太ももを押し上げて痛くなったりします。
前傾姿勢や直立姿勢の場合には、座面の角度によって太ももと上半身の角度が狭くなることで腹部を圧迫することもあります。
結果、呼吸が浅くなったり、緊張感を感じやすくなる原因になることも。
そのような場合、座面の前傾調節があると、水平からやや前下がりすることで狭くなった太ももと上半身の角度を広げ、腹部を圧迫から解放することができます。

逆に背もたれをしっかり使った後傾姿勢をとると、お尻が前に押し出されて前滑りを起こしやすくなるため、座面に適度な前上がりの角度が必要になってきます。
一方で腹部のリラックス感を得るには、上半身と太ももの角度を広げる必要があります。
このためには背もたれが倒れる角度に対して、座面が傾く角度が控えめでなければなりません。

これらの背もたれと座面の角度を良い具合に調節しているのが、シンクロリクライニングという機構です。
多くの高級オフィスチェアは、名前こそ違えどほとんどこの機構を採用しています。
例えば、
- アーロンチェア リマスタードの「ハーモニック2チルトテクノロジー」
- コンテッサ セコンダの「アンクルチルトリクライニング」
- エルゴヒューマン プロ2の「ドリフトロッキング」
- アクトチェアの「アンクルムーブ・シンクロロッキング」
などです。
それぞれ多少の違いはありますが、いずれも背もたれ角度に対して座面が連動して傾くシンクロリクライニングといえます。

変わったリクライニングとしては、リープV2のナチュラルグライドがあります。
このリクライニングは座面角度があまり変わりません。
しかも通常、背もたれが倒れるにつれて座面は後方へ移動するものが多い中、リープ V2の座面は、前方に移動します。
この機能には、リクライニングしても体が机から離れにくい、というメリットがあります。
詳しくはリープV2の記事でお話ししていますので、ぜひご覧になってみてください。
座面形状
座面形状はその構造上、クッション座面とメッシュ座面で可能な形が大きく変わります。
クッション座面
クッション座面の表面成形(お尻の形に成形されたもの)には、お尻や太ももにかかる圧力の集中を緩和する効果があります。
表面成形された座面は、ぱっと見では分かり難いですが、実際に触ってみると座面に座る形に沿った凹凸があることを感じ取れるはずです。
上半身をしっかり起こした前傾姿勢や直立姿勢では、着座面の重心に近く、最も固い坐骨部分に圧力が集中します。
座面の坐骨部分や太ももの中心部を少し凹ませると、それ以外の部分にもしっかり体重がかかり、体を支えてくれるようになります。
結果、坐骨と太ももの圧力の集中が分散されて、より広い接触面で支えることができるようになります。

メッシュ座面
メッシュ座面を選ぶと、お尻の形などの複雑な形状は成形できないため、座面形状による圧力分散はあまり期待できません。
多くのメッシュ座面は前後方向にはカーブが付いていますが、左右方向は一直線のものが大半です。
例外としてオカムラのコンテッサ セコンダのメッシュ座面があり、これは左右方向にもしっかりとしたカーブを実現しています。

座面の保温性と通気性
座面の座り心地に大きく影響するのが保温性と通気性です。結果から言うと、要はクッション座面にするか、メッシュ座面にするかの選択になります。

クッション座面はその保温性に加えて座り心地の良さもあり、一般的なオフィスでは圧倒的なシェアを占めています。
ただ、夏場においてはクッションが蒸れて不快な思いをしたり、集中力を削がれる経験をした人も多いと思います。
メッシュ座面は、夏場の涼しさではクッション座面と比較にならないほど涼しいことが最大のメリットです。
一方、冬場は割と暖房が効いていてもお尻が冷たくなってしまい、クッション座面の温かさが恋しくなります。
座り心地という点でもメッシュ座面はクッション座面に及びません。
もちろんメッシュ独特のさっぱりとした座り心地が良いという意見もありますが、どうしても少数派になってしまいます。
基本的には「座り心地の良さ」と「冬場の温かさ」を選ぶか、「夏の涼しさ」を選ぶかの2択になるでしょう。
作業姿勢との相性は暑さ寒さほど影響しませんが、リラックスにも使いたいならクッションのほうがラグジュアリー感があると思います。
座面の硬さ・柔らかさ
座面には姿勢を安定させるという重要な役目があるため、適度な硬さが必要です。特に上半身が不安定になりやすい前傾から直立姿勢では、やや硬めの座面が姿勢を安定させてくれます。
その一方で、背もたれの角度を倒すとリラックス感が増すため、硬いよりも柔らめの座面のほうが目的に合いやすくなります。
クッション座面においてはクッション自体の硬さを場所によって変更したり、厚みを変えたりすることで、各オフィスチェアが工夫を凝らしています。オカムラの異硬度クッションは特に有名ですね。

メッシュ座面においても高価格帯の座面になると、メッシュの張りを変えることで部分的に弾力を調節して、圧力の偏りをうまく分散してくれるものがあります。
特にアーロンチェア リマスタードに使用されている「8Zペリクル」(詳細はこちら)は、他のメッシュ座面とはかなり違いがあります。
まだ体験したことのない方は、ぜひ一度座り比べていただきたいほどです。

座面表面の摩擦感
表面素材は手触りの感触も重要ですが、それ以上に大切なのが摩擦感です。
特に浅い後傾姿勢をとることが多い人は、座面の摩擦感が少なすぎると、お尻が前滑りする原因になりかねません。
背もたれの角度を寝かせて使う人は、座面にそれなりの摩擦力があるものを選ぶことをおすすめします。

一方で摩擦感がありすぎると、姿勢を変更する際に衣服を引っ張る違和感を感じやすくなるため、程よい摩擦感であることも気に留めておきましょう。
クッション座面とメッシュ座面
ここではクッション座面を選ぶか、メッシュ座面を選ぶかについてお話しします。
ちなみにクッション座面の場合、表面素材はファブリック(布全般)を前提としています。
クッション座面を選ぶべき理由
クッション座面を選ぶべき理由は下記のとおりです。
- 座り心地が良い
- 安定感がある
- 冬場に寒くない
座り心地が良い
これはもう座り比べればはっきりわかることです。もちろんメッシュの座り心地が好きという人もいますし、私自身も20年以上のメッシュ座面ユーザーです。
ただレビューでクッション座面に座ると、ほぼ毎回クッションの座り心地の良さを思い知らされます。
座り心地の良さの最大の秘密は、お尻に対する圧力分散がしっかりしているからです。
クッション座面は真下から支える土台の上に乗せられているため、クッションの厚みと硬さを変えることで座面にかかる圧力の偏りを緩和することができます。
しかしメッシュ座面は、座面フレームにどれだけしっかり張力をかけてメッシュを張るかしか、調節のしようがありません。
もちろんアーロンチェア リマスタードやエルゴヒューマン プロ2のように部分的に柔らかさを変化させる工夫をしているものもありますが、クッションのきめ細やかな変化には及びません。
参考までに、ご自身がクッションとメッシュのどちらに向いているかを簡単にチェックする方法があります。
下の写真のように、座面とお尻の間に手を入れて座ってみてください。

この時、指先でお尻の坐骨が形まではっきりわかる人は、長時間メッシュ座面に座ると坐骨付近に少し痛みを感じる可能性があります。
特にやせ型の人は、実際にメッシュ座面に座って確認しておくことをおすすめします。
安定感がある
クッション座面は表面の形状をお尻の形に成形することができます。これもメッシュ座面にはないクッション座面のメリットです。
これにより座った際のお尻の圧力が分散され、姿勢に安定感が出ます。
特に背もたれを立てた状態で効果を発揮しますので、筆記作業やノートPC作業などの前傾から直立姿勢がメインの人にはおすすめです。
浅い後傾姿勢ではお尻の前滑りを防ぐ効果も期待できます。
もちろん形状の合う合わないがあるので、実際の座面を試すことは必須です。
冬場に寒くない
メッシュ座面に座る機会の少ない方はあまり意識されないかもしれませんが、冬場のメッシュ座面のお尻の寒さは、それなりに暖房が効いていてもなかなか耐え難いものがあります。
その点、クッション座面はクッション自体が空気を多く含んでいるため断熱効果が高く、お尻に寒さを感じることはあまりないと思います。
またクッションの沈み込みにより接触面も増えるため、より暖かさを感じやすい仕組みです。
メッシュ座面を選ぶべき理由
メッシュを選ぶべき理由は次のとおりです。
- 夏場に蒸れない
- 清潔感がある
- 独特の座り心地にはまる
夏場に蒸れない
メッシュ座面最大のメリットが通気性です。特に夏場にクッション座面に座っているとお尻や太ももが蒸れて仕方がないという人には特におすすめです。
私自身が結構な汗っかきで、夏場の蒸れで作業に集中することができなかったため、メッシュ座面を選んでいます。
お尻や太ももが暑くて席を立つ必要がなくなることは、かなりのメリットだと感じています。
もちろんクッションの項でお話しした通り、冬場の寒さは大きなデメリットです。
ただ、薄手のひざ掛け一枚を座面に敷くとかなり寒さを軽減できますので、対処できないわけではありません。
清潔感がある
クッションの場合は、汚れや水分がクッション内部までしみ込んでしまうと、それを完全に取り除くことはかなり難しくなります。
その点メッシュ座面は、食べ物や飲み物をこぼしたとしても、早めに拭き取れば簡単に汚れを取ることができます。
またその性質上、熱がこもりにくく低湿度を保つため、雑菌などが繁殖しにくいというメリットがあります。
清潔感という見方では、メッシュ座面が圧倒的に有利です。
独特の座り心地にはまる
メッシュ特有の張りのあるさっぱりとした座面の座り心地は、一定の心地良い緊張感を感じさせてくれます。
作業に集中するという意味では集中力を増す方向に働くため、この座り心地が良いという人も多いです。
また張りの強いメッシュチェアは、立ち上がる際に太ももにトランポリンのような反発力が働いて、腰を上げるのをこっそり助けてくれる点も見逃せません。
離着席の多い人や、ひざの負担を少しでも軽くしたい人におすすめの隠れたメリットです。
クッション座面とメッシュ座面の結論
というわけで、結論としては下記の通りになります。
夏場にクッション座面で座っていられないほど暑さや蒸れなどの苦痛を感じたことがなく、座り心地や冬場のぬくもりを大切に感じる人は、クッション座面を選ぶと後悔しにくいです。
また細身の人もクッションのほうが向いていることが多いです。
夏場のクッションがとにかく暑くてたまらない人で、冬場の寒さが比較的気にならない人はメッシュ座面を選ぶと良いでしょう。
また体格の良い人は座り心地のデメリットが軽減されることが多いため、メッシュが向いていることがあります。
ただお尻にあまりボリュームの無い人は、長時間座っているとお尻が痛くなることがあるので注意が必要です。チェック方法はこちら。
作業姿勢から選ぶ座面
ここでは基本的な4つの姿勢
に対して、それぞれどのような座面が合うのかお話しします。
前傾姿勢

前傾姿勢とは、上半身をほぼ垂直に保ち、顔を机面もしくは斜め下に向けて作業(筆記や本などによる調べもの、机での細かな工作など)を行う姿勢です。
この姿勢は椅子にもよりますが、背中がほとんど背もたれに当たらないくらいの姿勢になります。
上半身の重さをほとんどすべて腰で支えるため、慣れないうちはかなり疲れる姿勢です。
座面高さ
一般的に座面高さは身長の1/4を目安として、お尻から太ももにかけて圧迫が偏らないように設定します。
前傾姿勢では、座面高さを気持ち高めに設定すると安定感が増します。特に座面の前傾機能を使う場合に有効です。

クッション・メッシュ
座面は圧力分散の観点から言うと、クッション座面のほうが優れています。
ただ前傾姿勢は重心位置が前寄りになるため坐骨の負担が軽く、メッシュ座面でも圧力分散しやすい姿勢になります。

このことから前傾姿勢の際の座面は、クッションとメッシュにあまり大きな差は出にくいため、姿勢以外の要素(暑さ寒さや座り心地の好み)を考慮して選ぶと良いでしょう。
硬さ・柔らかさ
前傾姿勢では坐骨位置よりやや前方に重心が来るため、座面が安定しないと上半身もグラついてしまいます。
したがって、座面はやや硬めで、できればお尻を安定させる形状のものが望ましいです。
座面が柔らかすぎると、お尻が太ももよりも下に下がりやすくなり、座面前縁によって太もも裏が圧迫される可能性があります。
さらに仙骨付近をサポートできる背もたれだと、上半身の安定度がぐっと上がります。
実際、前傾姿勢に大切なのは座面と腰のサポートなのですが、それはまた別の機会に。
座面形状
横幅
前傾姿勢において横幅は極端に外さない限り、それほど重要な項目ではありません。
座面幅の項でお話しした通り、ひざの内側にこぶし2つ入るくらいの状態で座った際に、太ももの外側に少し余裕があるくらいが丁度良いでしょう。
奥行
奥行はしっかり奥まで座った状態で、座面前縁とひざ裏に指2~3本入る余裕ができるものが良いです。

この隙間に余裕がないとひざ裏を圧迫しますし、余裕がありすぎると座面が狭く、座り心地が悪く感じられるかもしれません。
前傾姿勢しか使わない場合は指1本でもよいのですが、椅子によっては背もたれを倒すほど、奥行きが広がるものもあるため、少し余裕を見た方が良いです。
厳密には実際に座って確認することをおすすめします。
座面奥行は椅子選びにおいて最も重要で、間違えると取り返しがつかない項目ですので、体に合わないものは絶対に選ばないようにしましょう。
表面形状
前傾姿勢は上半身が不安定になりがちですが、それをサポートしてくれるのが座面表面の形状です。
この姿勢では前後だけでなく左右の安定感にも貢献します。劇的な変化ではないため、長い時間利用して徐々に感じてくるものです。
座った感触に違和感がなければ、成形されたものを選ぶのも良い選択です。
座面角度
前傾姿勢での極端な後傾(後ろ下がり)座面は、腹部を圧迫し猫背を助長することになりかねないため、おすすめしません。
これまでのレビュー経験から、前傾姿勢なら水平に対して仰角4°(前上がり)~俯角6°(前下がり)くらいが適切と考えます。

前傾姿勢は、座面の角度の他にも背もたれによる腰のサポートが重要です。
特に仙骨付近をしっかり支えてくれると姿勢が安定しやすくなるので、この姿勢を多用する場合は座面だけでなく背もたれとセットで判断することをおすすめします。
座面角度はスマホの水平器アプリで簡単に計測(写真はこちら)できます。座面の中央に置いて測った値で比較してみてください。
表面の滑りやすさ
前傾姿勢でお尻が滑ることはあまりありません。好みで選ぶのも悪くありませんが、現実的には、この姿勢の次によく使う姿勢で判断するようにしましょう。
直立姿勢

前傾姿勢と同じく、顔を机面もしくは斜め下に向けて作業(筆記作業、本などによる調べもの、机での細かな工作に加えて、ノートPCによるタイピングなど)を行う姿勢です。
前傾姿勢との違いは、上半身を背もたれにしっかり預けて作業する点です。背もたれの角度にもよりますが、前傾作業に比べると腰の負担はかなり軽くなります。
座面高さ
直立姿勢では、前傾姿勢よりも体重が後方に移動して坐骨付近に集中します。
前傾姿勢と同様に、身長の1/4を目安としてやや高めに座面高さを調節すると、体重の偏りが坐骨から少しだけ太ももに分散されるためおすすめです。
もし坐骨付近の圧迫が気になる場合は、足先をやや前方に移動させると、圧迫をわずかに太ももに分散させることができます。

クッション・メッシュ
直立姿勢では特に坐骨付近の圧力の偏りが強いため、クッション座面がおすすめです。
特に表面形状がしっかりお尻の形に成形されているものだと、圧力の分散に期待が持てます。
例を挙げるなら、オカムラの異硬度クッションやジェスチャーのシートはおすすめです。
夏場の蒸れ対策でメッシュを選択する場合は、張りの強いものを選ぶと姿勢の安定感が増します。
メッシュを選びたいけど坐骨付近が痛くてメッシュ座面に長時間座っていられないという人は、ぜひアーロンチェア リマスタードを試してみてください。

アーロンチェア リマスタードの座面は他のメッシュ座面と座り心地が大きく異なります。詳細はこちらをご覧ください。
硬さ・柔らかさ
直立姿勢においても、座面はやや硬めを選んだほうが姿勢が安定します。
お尻が落ち込んでしまうほど柔らかいものは、お腹の圧迫や座面前縁による太ももの圧迫を引き起こしやすいため注意が必要です。
座面形状
横幅
横幅は前傾姿勢と同じで、太ももの外側に少し余裕があれば十分です。
奥行
直立姿勢の奥行も前傾姿勢とほぼ同じで、座面前縁とひざ裏に指2~3本入る余裕ができるものが良いです。
ただ、あまり背もたれを倒す機会がなければ、少し狭め(指1~2本)でも、問題ありません。その分お尻の圧迫がわずかに緩和されます。
表面形状
直立姿勢は坐骨付近に圧力が集中しやすいため、座面表面がしっかりお尻型に成形されているもののほうが圧力分散しやすく有利です。
いつも坐骨付近が痛くなってしまう人には特におすすめです。
メッシュ座面を選ぶ場合は表面形状の工夫は難しいため、アーロンチェアやエルゴヒューマンプロ2のように、メッシュの張りの強さを部位ごとに変化させたものをおすすめします。
ただ現状そのようなメッシュ座面は他にあまりないため、次善の対策として張りの強いメッシュ座面を選ぶと多少痛みを軽減できると思います。
座面角度
前傾姿勢と同じく極端な後傾座面は腹部を圧迫し、猫背を助長することになりかねないため、おすすめしません。
直立状態なら仰角5°~俯角2°くらいが適切と考えます。
直立姿勢も腰のサポートは重要です。座面だけでなく、背もたれの腰のサポートとセットで判断しましょう。
表面の滑りやすさ
直立姿勢においても、お尻が前滑りするようなことはあまりありませんが、オフィスチェアによっては少し違和感を感じるものもあります。
直立姿勢を多用する方は、そのような椅子は避けた方が良いでしょう。
対策としては座面奥行きを広めにとると、接触面積が増えることで、滑りを軽減することができます。
あるいは座面素材との相性を考えて、衣服のほうで調節するのも一つの解決策です。
浅い後傾姿勢

浅い後傾姿勢は、顔を斜め下から前方に向けて作業する(ノートPCやデスクトップPCのディスプレイを見ながら行う作業など)姿勢です。
直立姿勢よりも背もたれを寝かせて体をしっかり預ける作業姿勢のため、今まで腰で支えていた上半身の重さをある程度背もたれが支えてくれます。
結果、直立姿勢に比べて腰の負担がかなり軽くなります。
但し、これは座面の奥までしっかり腰を入れて座っていることが条件です。
もし腰を前にずらして座ると、逆に腰の負担が激増するため腰痛の原因になりかねません。正しく座ることをお忘れなく。

座面高さ
浅い後傾姿勢は、上半身をしっかり背もたれに預ける姿勢です。
直立時の座面高さをそのままに背もたれを倒すと、少し太もも裏の圧迫が強くなることがあります。
その場合は、直立姿勢の時よりも座面高さを少し下げると、圧迫を軽減できます。
結果的に座面高さは、身長の1/4よりも少し低めになるかもしれません。
この時、足先は直立姿勢よりも少し前方に移動させると緊張感が和らぎます。

クッション・メッシュ
基本的には直立姿勢と同じで、体重の軽い方はクッションのほうが若干安定性を感じやすいです。
メッシュ座面で座り疲れを感じる人は、メッシュの張りの強いものを選んだほうが疲れにくくなると思います。
坐骨付近の負担が大きいときも、足先を少し前に出すと楽になることがあります。
硬さ・柔らかさ
この姿勢で集中して作業をこなしたい方は、やはり硬めの座面をおすすめします。
浅き後傾姿勢は割とリラックス感を強めに感じるため、座面の硬さで緊張感のバランスをとるのが丁度良いと考えています。
逆にリラックス感をもっと感じたい場合は、柔らかめがおすすめです。
座面形状
横幅
直立姿勢と変わりありませんが、やや広めのほうが姿勢にあったゆとりができます。
奥行
オフィスチェアのなかには直立状態から後傾姿勢に移行すると、座面奥行きが広がるように感じるタイプの椅子があります。
例を挙げるならエルゴヒューマンなどのように座面と背もたれの間に空間が空くタイプのものです。
下の写真はアクトチェアと、座面奥行きが大きく広がるエルゴヒューマンを比較したものです。

浅い後傾姿勢で使うことの多い方は、この状態で座面前縁とひざ裏の間に指1~2本程度の隙間を空ける必要があります。
直立よりも狭くて良い理由は、この姿勢だと足を少し前に出して作業することが多いため、その分座面前縁とひざ裏の距離が取れるからです。
表面形状
直立姿勢に比べると、背もたれに上半身の体重をかなり預ける姿勢になるため、圧力分散という意味で座面形状の影響力は少し小さくなります。
ただ座面の後傾角度が浅いオフィスチェアだと、お尻が前滑りすることがあります。
このような場合は、同じ角度でもしっかり成形された座面のオフィスチェアを選ぶことで、前滑りを防止しましょう。
座面角度
リクライニングに伴う座面角度の変化(後ろ下がり方向)が大きいと、リラックス感が高まります。
座面角度が大きくなるにつれ、坐骨付近に集中した体重は、背もたれや太ももに分散されやすくなります。

座面角度の変化が小さい場合はリラックス感も控えめですが、作業への集中感が損なわれにくいというメリットもあります。
だだ、お尻が前滑りしやすくなることもあるため注意が必要です。
座面角度が適切かどうかの確認は、案外見落としがちな落とし穴ですので、注意してくださいね。
表面の滑りやすさ
浅い後傾姿勢は、比較的お尻が前滑りしやすい姿勢です。
これは座面角度だけでなく、座面表面の素材と衣服の相性の問題もあります。
座面側の素材としてレザー(革)などは滑りやすいものも多いため、注意が必要です。
試座するときは可能なら普段作業で使用する服装か、似たような生地の物で試座を行い確認しましょう。
また、逆に摩擦が強すぎる素材にも問題があります。あまりに摩擦が強すぎると衣服が座面に固定され、中の体だけがずり落ちてズボンに鼠径部を圧迫されることがあります。
試座の際には今使用している椅子を基準に、より摩擦力の強い座面と弱い座面を座り比べて、丁度良いものを選ぶようにしましょう。
深い後傾姿勢
この記事でいう深い後傾姿勢とは、リラックスや休息(5分以上の仮眠や動画鑑賞など)をとる姿勢を意味します。
この姿勢で作業することは考慮していませんので、ご注意ください。
浅い後傾姿勢よりも背もたれを寝かせて上半身をしっかり預ける姿勢のため、お尻にかかる重さをさらに軽減してくれます。

注意点は浅い後傾姿勢と同じで、座面の奥までしっかり腰を入れて座っていることです。腰を浅くして座ると腰痛の原因になります。

座面高さ
座面高さは浅い後傾姿勢と同じ程度ですので、身長の1/4よりも少し低めが解放感を感じやすくなります。
さらにリラックスしたい場合は、太ももが座面前縁に圧迫されないよう座面高さをより低く設定して、足を少し前に投げ出しましょう。

クッション・メッシュ
どちらかというと柔らかめのクッションのほうが、よりリラックスを感じられます。
夏場の蒸れが気になる人は、リラックス感ではクッションに及びませんが、涼しいメッシュ座面を選ぶと良いでしょう。
真夏の蒸れからの解放は、クッションの心地よさを手放しても、はるかに勝ると感じる方も多いはずです。
硬さ・柔らかさ
深い後傾姿勢の目的を「リラックスすること」としていますので、柔らかいほうが目的に合います。
ただ柔らかすぎると体が沈み込んで拘束感を感じるという方は、少し硬めの座面を選んだほうが合うかもしれません。
座面形状
横幅
狭いよりは広めのほうが、姿勢にあったゆとりができると思います。
奥行
深い後傾姿勢では座面奥行きが広く感じます。座面前縁とひざ裏の間に最低でも指1本程度の隙間が空けられるものを選びましょう。
さらにゆっくりしたい場合は、フットレストを使ってひざ裏の圧迫を回避するのも良いと思います。
フットレストはオフィスチェに内蔵されていなくても、別途用意すれば十分です。

表面形状
深い後傾姿勢では、座面にかかる体重の一部を背もたれが負担してくれるため、座面形状の重要性は低くなります。
お尻が前滑りしない限り、好みで選んでも問題ありません。
座面角度
座面角度が浅いと坐骨付近の摩擦感が少し強く感じられます。
ただ上半身と下半身の角度が大きくなるため、おなかの当たりの圧迫感が解放されリラックスできます。
背もたれを倒しても座面角度が浅い代表的なオフィスチェアは、エルゴヒューマンプロ2とリープ V2です。

座面角度が深いと、坐骨付近の圧迫感や摩擦感は少なめです。
お尻が比較的斜め後方に下がることから、動作的に優雅なリラックス感を感じることができます。
その一方で上半身と下半身の角度変化は小さいため、腹部の開放感は前者ほどではありません。
代表的なオフィスチェアはアーロンチェア リマスタードです。

椅子に座ってリクライニングさせた時の感動は、座面角度の深いもののほうが大きいと感じました。
ただ実際に使っていく中で、座面角度の浅いもののほうが背もたれを倒した状態での作業に向いていると、私は感じました。
どちらをタイプを選ぶかは、どのような用途に使いたいかと、姿勢の好みになると思います。
表面の滑りやすさ
座面角度があまり変化しないものは、お尻が前滑りしやすくなるため、摩擦力のある表面素材のほうが安心です。
座面角度がしっかり変化するものはあまり気にしなくてもいいですが、この姿勢だけで使うわけではないと思いますので、他の姿勢との兼ね合いも考えて慎重に選択しましょう。
座面からオフィスチェアを選ぶなら
最後にこれまでレビューしてきたオフィスチェアを座面重視の観点で使用姿勢に対する向き不向きを表にまとめてみたいと思います。
評価の条件は下記のとおりですが、私の主観も大いに入っている点については、ご了承ください。
- 前傾姿勢と直立姿勢、浅い後傾姿勢は、筆記やPCタイピングなどの作業を想定した評価
- 深い後傾姿勢は、5分以上の休憩や動画鑑賞を想定した評価(作業は想定しない)
- 評価対象は座面単体ではなく、座面を活かす背もたれやランバーサポートの影響を含む
- アームレストやヘッドレスト、フットレスト等の影響は評価に含みません
| 各オフィスチェアの座面評価 | 前傾姿勢 | 直立姿勢 | 浅い 後傾姿勢 | 深い 後傾姿勢 |
|---|---|---|---|---|
| アーロンチェア リマスタード | ◎ | ◎ | ◎ | ✕ |
| シルフィー | ◎ | ◎ | ◎ | △ |
| ジェスチャー | ◎ | ◎ | ◎ | △ |
| エルゴヒューマン プロ2 オットマン | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 |
| アクトチェア | △ | 〇 | 〇 | 〇 |
| リープ V2 | △ | 〇 | 〇 | 〇 |
| コンテッサ セコンダ(クッション座面) | △ | 〇 | ◎ | ◎ |
| 初代エルゴヒューマン プロ オットマン (メッシュ座面) | △ | 〇 | 〇 | ◎ |
〇:向いている
△:使える
✕:向いていない
各オフィスチェアの評価詳細については以下にお話しします。
アーロンチェア リマスタード

アーロンチェアには座面奥行き調節がありません。代わりに椅子のサイズがSMLの3種類から選べるため、ここでしっかり座面奥行きの合うサイズを選択する必要があります。
前傾姿勢
前傾姿勢では前傾チルト機能のおかげで座面が少し前下がりになり、太もも裏の圧迫を軽減してくれます。
座面の安定感もメッシュチェアとしては非常に高く、背もたれのポスチャーフィットのサポートもあって姿勢の維持がしやすいです。
直立姿勢
直立姿勢では比較的坐骨付近に圧力が集中しやすいのですが、アーロンチェアのメッシュ座面はそれがかなり緩和されています。
個人的には今まで座ったメッシュチェアのなかでも、最高の座り心地だと感じました。
この秘密は座面を4つのゾーンに分け、座面前縁と後縁付近に硬いゾーン、太もも部位に安定ゾーン、坐骨付近に柔軟ゾーンを割り当てて圧力の分散を行っていることにあります。

これにより坐骨付近は柔らかく支えることで圧迫を軽減し、そのぶん太ももを支える安定ゾーンに荷重が段階的に移り、しっかり支えてくれます。
座面前縁と後縁は、硬いゾーンで最も固いフレームから徐々に変形することで、フレームが太ももへ与える圧迫を緩和しています。
浅い後傾姿勢
浅い後傾姿勢でも座面の程よい傾きでお尻が前滑りすることなく、しっかり体重を受け止めます。
この椅子の座面はメッシュにもかかわらず、座った際に平らに感じられるため、ゆったりとした気分で姿勢を維持できます。
深い後傾姿勢
深い後傾姿勢時は座面がしっかり傾くため、リラックスの際に短時間倒す分にはとても気持ちの良いリクライニングができます。
その一方で、やや硬め座面は長時間休憩するには、柔らかさが足りないように感じました。
アーロンチェア全体でみると特に深い後傾姿勢の際に倒れる角度は大きいものの、座面と背もたれの角度があまり大きくならないため、総合的に長時間の休憩には向かないオフィスチェアです。
実際、この椅子で動画鑑賞していると、うまく姿勢を崩せず、椅子を変えたい衝動にかられます。
真面目に作業に使っている分にはどの背もたれ角度でも最高の座り心地ですので、まさに作業特化のオフィスチェアといえます。
シルフィー

シルフィーの座面は、座面前縁から後縁にかけて3種類の硬さのクッションが順番に配置された異硬度クッションと呼ばれるものです。
レビューしてきた中でもクッション性が高く、一番座ってホッとするクッションです。
前傾姿勢
前傾姿勢では座面、背もたれともに前傾チルトする構造で、しっかりサポートしてくれます。
前傾姿勢での使いやすさは、アーロンチェアに匹敵するように感じました。
特にリクライニングをフリーにした時の前傾姿勢での使い勝手は、アーロンチェア以上かもしれません。
直立姿勢
直立姿勢も異硬度クッションがしっかりお尻を支え、背もたれが腰椎部をしっかりサポートするため、姿勢が安定します。
もちろん座面圧力の偏りも感じないため、快適な使い心地です。
浅い後傾姿勢
浅い後傾姿勢では適度に座面が傾き、異硬度クッションがしっかりお尻を支えてくれるため、安定感があります。
深い後傾姿勢
深い後傾姿勢については、座面が適度な柔らかさを発揮するため問題ありません。座面角度もしっかり後傾するオフィスチェアです。
ただ座面ではなく、背もたれの包み込まれ感が苦手な人には、異硬度クッションの密着感も相まって、少し窮屈さを感じるかもしれません。
座面に問題はありませんが、椅子自体の大きさが控えめなため、長時間の休憩にはあまり向かないように感じました。
ジェスチャー

ジェスチャーの座面は割と固めに感じますが、マットのように落ち着いた感触でお尻を受けてめてくれるため、座り心地はとても良いです。
オカムラの異硬度クッションとはまた違った上質さがあります。
座面表面の成型は控えめですが、しっかり圧力分散できていると感じました。
背もたれが腰椎付近の形を意識した形状のため、見た目以上に腰のサポート力があります。
前傾姿勢
前傾機能のないジェスチャーですが、お話しした腰のサポートがしっかりしているため、前傾姿勢でも上半身を安定して固定することができます。
また同じスチールケースのリープ V2と同様に座面前縁部がパッシブシートエッジになっており、前傾姿勢時にシート前縁が少し下に下がることで、太ももにかかる圧力をうまく逃がしてくれます。
このためジェスチャーは特に前傾機能がなくとも、楽にこの姿勢をとることができます。
直立姿勢
直立姿勢のときも座面に圧迫の偏りなどを感じず、姿勢も安定します。
前傾時と同様に背もたれの腰のサポートが、姿勢維持に大きく貢献しています。
座面と背もたれとのコンビネーションが優れており、直立姿勢でのパフォーマンスが高いオフィスチェアです。
浅い後傾姿勢
浅い後傾姿勢時の座面角度はやや浅めのため、座面と衣服の相性次第で若干お尻が前滑りがする感覚がありました。
ただ座面奥行きを少し長めにとることで、ほぼ問題なく使用できました。
浅い後傾姿勢は割とリラックスした気分になりやすい姿勢ですが、座面に適度な硬さがあり、背もたれ形状が姿勢を正す傾向が強いため、浅い後傾姿勢でも割としゃきっとした感覚で作業できます。
深い後傾姿勢
深い後傾姿勢においても座面の後傾角度は比較的浅めのため、座面の硬さも相まって一定の緊張感を保つ傾向があります。
背もたれを倒してのストレッチなどは問題ないものの、長時間リラックスするには姿勢をきれいに保つ背もたれの形状が、あまり休憩には向いていないと感じました。
エルゴヒューマン プロ2 オットマン

エルゴヒューマン プロ2 オットマンの座面は、初代に比べてかなり張りが強くなりました。この結果、初代よりもやや硬めの座り心地になっています。
またリクライニング機構がドリフトロッキングになったことにより、後傾時の座面角度が浅くなりました。
これにより上半身と下半身の角度が大きく開くことで、腹部の緊張を緩和しやすくなっていいます。
前傾姿勢
エルゴヒューマン プロ2 オットマンは座面だけでなく背もたれも前傾するため、前傾姿勢時に上半身の姿勢をうまくコントロールすることができます。
初代の弱点であった前傾姿勢でのランバーサポートの頼りなさも、反発力が調節できるようになったことである程度解消されています。
ただ、アーロンチェアやシルフィー、ジェスチャーの腰のサポートには今一歩及ばないと感じました。
直立姿勢
メッシュ座面の張りが初代より強くなったことで、姿勢の安定性が増して快適に作業できるようになったと感じています。
またエルゴヒューマンはプロ2、初代ともにデフォルトの背もたれの角度が結構立っており、シルフィーの前傾姿勢時の背もたれに近い角度になっています。
このため上半身をしっかり預けても体が後ろに行かず、きれいな直立姿勢を保つことができます。
リラックスメインの印象が強いエルゴヒューマンですが、直立姿勢とも相性が良いです。
浅い後傾姿勢
浅い後傾姿勢はエルゴヒューマンが本領を発揮する姿勢です。
座面の角度変化が初代より小さくなったおかげで、過度にリラックスし過ぎないながらも、上半身と下半身の角度が大きく取れるため、おなかに余計な緊張感を感じることなく作業に集中できます。
またメッシュの張りが強くなったことで腰が落ち込まないため、開放感のあるゆったりした気分で作業できます。
深い後傾姿勢
深い後傾姿勢では、さらに上半身と下半身の角度を開くことができるため、よりリラックスできます。
その一方で以前よりも座面角度が浅くなったため、リクライニング時のラグジュアリー感は控えめになったように感じました。
リラックス重視だった初代よりも若干作業寄りに振った印象です。
アクトチェア

アクトチェアの座面はやや硬めですが、坐骨が当たる辺りを少し凹ませており、安定した座り心地です。
他のクッションチェアと比べると通気性に配慮した構造になっているのもあり、表面素材のさっぱりした質感も併せて、他のクッションよりも夏場の暑さに有利に感じました。
座面奥行きをかなり短くできるため、小柄な人には体に合わせやすい一面があります。
前傾姿勢
硬めの座面は姿勢を安定させやすいのですが、背もたれの腰椎部のサポートがそれほど主張していないため、前傾姿勢を長時間保つには腰のサポートが不足気味です。
直立姿勢
クッションの厚みは他の椅子に比べて若干薄いように感じますが、底突きするようなことはありませんでした。
座面の安定性も申し分ありませんでしたが、背もたれの角度が他の椅子よりわずかに寝ている点が人によっては少し気になるかもしれません。
浅い後傾姿勢
浅めの後傾姿勢では、座面も適度に傾くため、使いやすい姿勢になります。
その一方で座面の奥の左右が少しせりあがっているのと、背もたれのサポート点がやや低い位置にあるため、人によってはお尻が前滑りしてしまうかもしれません。

この前滑り感は、座面奥行きを少し長めにとることで、かなり緩和できます。
深い後傾姿勢
深い後傾姿勢になると座面もかなり後傾になるため、前滑り感はそれほど気にならなくなります。
ただ、背もたれを倒したときの座面奥行きがあまり広くならない(背もたれと座面後縁の距離が広がらない)タイプのため、この姿勢でのリラックス感は控えめといえます。
リープ V2

リープ V2の座面はクッション座面がやや硬めで、表面形状もしっかり成形されているため安定感は高いです。
表面の凹凸具合は、レビューした中でも最も変化がはっきりしています。
前傾姿勢
リープ V2の座面角度は最も背もたれを立てた状態でも仰角(前上がり)7.2°となっており、割と後傾気味です。
そのため前かがみの姿勢をとると、少し下腹部が圧迫され緊張感を感じます。
座面前縁の太もも下にも圧迫感があるかと思いましたが、こちらは座面前縁が柔軟に曲がる機構(パッシブ・シート・エッジ)になっているため、私はそれほど気になりませんでした。
直立姿勢
前傾姿勢と同じ座面角度ですが、背もたれにしっかり体重を預けた姿勢であれば、特に腹部に緊張感を感じることはありません。
表面形状がしっかり成形されており、クッション自体の厚さもあるため、抜群の安定感があります。
浅い後傾姿勢
浅い後傾姿勢は、リープ V2の得意な姿勢です。
このオフィスチェアは背もたれを倒しても座面角度がほとんど変わらないため、この姿勢で丁度良い座面角度になると感じました。
さらに通常のオフィスチェアなら背もたれを倒すと座面が後ろに下がるところ、リープ V2は前方にスライドします。

おかげで直立姿勢から浅い後傾姿勢に変えても、椅子の位置を前に動かして机との距離を調節する動作が緩和できます。
深い後傾姿勢
深い後傾姿勢において、座面に特に問題はありませんでしたが、背もたれがやや体を包み込む形状であるため、長時間この姿勢をキープして休憩するには少し窮屈さを感じました。
コンテッサ セコンダ(クッション座面)

コンテッサのクッション座面は、シルフィーと同じく異硬度クッションを採用しており、座り心地は抜群です。
ちなみにコンテッサにはメッシュ座面のタイプもあります(写真はこちら)。
他ではあまり見られない3Dで変化のある形状に仕上げていますので、(クッションには及びませんが)安定感は良いと感じました。
ただコンテッサのメッシュ座面に関しては、店頭で試座しただけですので、ここではクッション座面の評価をお話しします。
前傾姿勢
クッション座面自体はどんな姿勢にも問題なく対応できますが、コンテッサ全体でみると前傾姿勢時の腰を支える背もたれのサポートが若干弱いため、前傾姿勢に特別向いているとは言えません。
前傾姿勢を多用するなら、オプションのランバーサポートがあったほうが良いです。
直立姿勢
直立姿勢に対しては十分なサポートがあり、クッション座面表面も成形されていて安定します。坐骨付近の圧迫もほとんど感じません。
オプションのランバーサポートを付ければ、さらにしっかり腰を支えることができます。
浅い後傾姿勢
浅い後傾姿勢では異硬度クッションがうまく座面の圧力を分散してくれる上に、メッシュの背もたれが軽く包み込むように支えてくれます。
長時間の着席でも、お尻に痛みや座り疲れを感じることはありませんでした。
深い後傾姿勢
深い後傾姿勢でも座面の快適さは変わらず、リラックスするのにも申し分ありません。
座面角度も上半身と下半身の角度が程よく開くため、ヘッドレストを追加すればかなり快適に休息できます。
初代エルゴヒューマン プロ オットマン(メッシュ座面)

初代エルゴヒューマン プロ オットマンの座面はメッシュ座面とクッション座面がありますが、ここではメッシュ座面について評価します。
前傾姿勢
座面単体では前傾調節ができるため、この姿勢特有の座面前縁付近の太もも裏圧迫が軽減できます。
ただプロ2の項でお話しした通り、前傾姿勢を保つうえで重要な腰のサポートが初代エルゴヒューマンでは柔らかすぎて、この姿勢の腰をしっかりサポートすることが難しいです。
このため前傾姿勢で使えなくはないですが、向いているとは言い難いです。
直立姿勢
プロ2の項でもお話しした通り、初代エルゴヒューマンも背もたれの角度が立っていることもあり、直立姿勢に対して相性が良い座面です。
さらに他のオフィスチェアには無い、座面角度の無段階調節が可能です。きめ細かな前傾角度を調節できる点は、どの椅子に対しても勝っているメリットです。
ただプロ2と比較すると座面の張りが若干弱いため、わずかに安定感で及ばないように感じました。
浅い後傾姿勢
浅い後傾姿勢はプロ2同様にこの椅子の座りやすさが発揮される姿勢です。
メッシュ座面特有のさっぱりした座り心地は自由度が高く、窮屈さがないため、リラックスしながらも作業に集中しやすいです。
座面の角度がプロ2よりも深いため、ややリラックス感が強めに感じられます。
深い後傾姿勢
深い後傾姿勢ではしっかり後傾する座面と余裕のある大きさのため、優雅な気分で過ごすことができます。
リラックス感という意味ではしっかり腰が下がる分、プロ2よりも休憩に向いていると感じています。
プロ2より柔らかめの座面メッシュも緊張感の緩和に役立っています。
上半身と下半身の角度はプロ2のほうが広いため、ストレッチで伸びている感触はプロ2のほうが強いです。
座面から選ぶ高級オフィスチェアのまとめ
ここまでクッション座面とメッシュ座面の選択方法、およびよく使う姿勢ごとの座面の選び方をお話しさせていただきました。
もう一度まとめると、
座面はクッションか、メッシュか?
- 座り心地重視ならクッション(但し夏は暑い)
- 夏場の蒸れが苦手ならメッシュ(但し冬は寒い)
姿勢による座面選択
- 前傾姿勢
硬めの座面で、角度は水平付近。前傾できれば尚良し。
奥行は標準からやや浅めも可。 - 直立姿勢
硬めの座面で、角度は水平からやや後傾。
奥行は標準。
表面がお尻の形に成形されていれば尚良し。 - 浅い後傾姿勢
やや硬めの座面で、角度は前滑りしない程度に後傾。
表面はお尻が滑りにくい素材で、お尻の形に成形されたものだと尚良し。
奥行は標準からやや深めで座面幅は少し余裕を見る。 - 深い後傾姿勢
若干柔らかめの座面で、座面幅と奥行きを広めにとる。
座面角度は後傾だが、背もたれ角度とのバランスが大切。
となります。今後のあなたのオフィスチェア選びの助けになれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
あなたが魅力的なオフィスチェアに出会えることを願っています。



