長時間PCに向かっていると…
肩がずっしり重い
体がこわばって集中できない
姿勢を整えてもすぐ疲れる
こんな悩み、ありませんか?
実はそれ、オフィスチェアを見直すだけで解決できる可能性があります。
その代表例が イトーキ「アクトチェア(Act)」。

タイピング時の腕の重さをしっかり支えつつ、背もたれは体の動きに追従して自由さを失わせません。
さらに、調整レバーが座面右下に集約されていて、直感的に自分の体にフィットさせられるのも特徴です。
私はこれまで、7脚以上の異なる高級オフィスチェアを毎日8時間、最低でもそれぞれ1か月以上じっくり座り比べてレビューしてきました。
その中には、4年以上使い続けている椅子もあります。
そんな私が、アクトチェアを実際に使ってみて特に良いと感じたのは、
「タイピング時の腕の重さをしっかり支える4Dリンクアームと、身体を締め付けない自由な動きができるフレキシブルバック」
です。
まるで身体の一部になったかのように、自然な姿勢をサポートしてくれます。
この記事を読めば、カタログではわからないリアルな使い心地や選び方のコツがわかり、アクトチェアが自分に合うかどうか判断できるはずです。
結論から言うと――
「肩こりや体のこわばりに悩むタイピング中心のPC作業者」には、アクトチェアは自信を持っておすすめできる一脚です。
アクトチェアの概要
イトーキの人気オフィスチェアとして知られるアクトチェア。
最大の特徴は、自由度の高いアームレスト調整です。以前レビューしたスチールケース「ジェスチャー」と同等レベルの可動性を備えており、タイピング作業時の腕をしっかりサポートしてくれます。

さらに、上半身の左右のねじり動作まで柔軟に受け止めるフレキシブルバックや、リビングに置いても馴染む豊富なカラーバリエーションと特徴的なデザインも魅力です。
ラインナップは幅広く、ヘッドレスト&アームレスト&ランバーサポートなどフル装備の仕様から、それらをすべて省いた仕様まで選択可能。
必要なオプションを選択して、自分の作業スタイルと環境に合わせられる点も強みといえるでしょう。
実売価格は8~17万円前後。高級チェアの中では、機能と価格のバランスが取れたモデルです。
なお、2025年5月には後継機となる「Act2」 が発表されました。アクトチェアの良さを引き継ぎつつ、以下の点が改良されています。
座面クッション | 通気性を高めた「レスピテック座面」に進化 |
ヘッドレスト | 高さ・角度を調整できる「アジャスタブルヘッドサポート」搭載 |
ランバーサポート | 腰椎だけでなく骨盤まで支える「ペルヴィス&ランバーサポート」に改良 |
今後は順次Act2への切り替えが進むと予想されます。
詳しい改良点については、以前の「チェアニュース」で紹介した記事をご覧ください。

アクトチェアの良い点、気になる点
レビューしてみてわかったアクトチェアの良い点は3つ、気になる点は2つです。
- アームレストが自在にフィットする
- 背もたれの自由度が高く快適
- 操作性がシンプルで扱いやすい
- 座面と背もたれの形状による「前滑り感」
- リクライニング強弱調節が5段階のみ
アクトチェアの良い点
アームレストが自在にフィットする
アクトチェアの「4Dリンクアームレスト」は、上下・前後・アーム本体の回転・アームパッドの回転の4方向に調整可能。
特にアーム自体が回転するため、左右の間隔を大きく狭められるのが特徴です。最小で約290mm(アームレスト最高高さでの計測値)まで寄せられるので、タイピング時に腕をしっかり支えてくれます。

数字上ではスチールケースのジェスチャー(180mm)や初代エルゴヒューマン(210mm)に及びませんが、実際の使いやすさではジェスチャーに匹敵。
初代エルゴヒューマンよりも自然な角度で腕を置けます。
ジェスチャーのアームレストがやや低めに感じた方でも、アクトチェアならより高く調整できるため余裕があります(比較写真はこちら)。
背もたれの自由度が高く快適
「フレキシブルバック」と呼ばれる背もたれは、体の左右のひねりにも追従するピボット構造。さらに横方向のカーブが浅めで、包み込みすぎない適度なホールド感があります。
・しっかり支えるのに自由さもある
・背中を囲われすぎるのが苦手な人にぴったり
メッシュの硬さは、オカムラのシルフィーより硬め、アーロンチェアよりは少し柔らかめといった印象です。
背もたれの動きに追従するアクトチェアの背もたれ
操作性がシンプルで扱いやすい
調整レバーやノブ類は座面右下に集約されており、迷わず操作できます。
・ガス昇降レバーは手のひらを座面側面に固定して指で引きやすい形状で、ちょうど良い硬さ
・ロッキング角度固定レバーはすぐ手が届く位置にあり、軽い操作感
・ロッキング強弱ハンドルはやや重いですが、背をしっかり直立させて操作すると軽減可能
・アームレストの上下調整はラチェット式で、引き上げるだけで固定、下げるときだけレバー操作(動画はこちら)
ロッキングロッキング強弱調節ハンドルは少し前方にあり、操作しようとすると自然と体が前かがみになり背もたれから離れるようになります。この辺りはしっかり人間工学を反映させた配置だと感心しました。
実際に使ってみると、「調整したいときに直感的に動かせる」 心地よさがあります。
アクトチェアの気になる点
座面と背もたれの形状による「前滑り感」
アクトチェアの座面奥は左右の隅がややせり上がっているため、体格の大きい方はこのせり上がりが気になる場合があります。

さらに背もたれは、腰を支える出っ張りが座面に近い位置にあるため、深く座ろうとすると背に押し戻されるような感覚があります。

その結果、後傾姿勢で背もたれにしっかり体重を預けたときに「お尻が前に滑る」と感じることがありました。

もっとも、これは体型や衣服の素材などにも左右されるため、誰もが同じように感じるわけではありません。
特に後傾姿勢で作業したい方は、購入前に試座して確認するのがおすすめです。
リクライニング強弱調節が5段階のみ
アクトチェアのリクライニングは、強弱を5段階で切り替えられるシンプルな方式です。操作は簡単で分かりやすいのですが、細かい調整ができないのが惜しいところ。
具体的に言うと、設定された反発力が自分の体重や好みに合わない場合、狙った角度で止まりにくいため、ロッキングがやや使いづらく感じるということです(動画はこちら)。
よりカスタマイズ性を求める方には物足りないかもしれません。
ロッキング状態での角度を微調整したい方は、アーロンチェア、リープV2、ジェスチャーなどを試してみると違いが分かると思います。
アクトチェアに向いている人、いない人
アクトチェアに向いている人
- アームレストをしっかり活用したい人
- 作業姿勢に開放感を求める人
- リビングの一角など作業場以外に置きたい人
アクトチェアに向いていない人
- 正しい姿勢に矯正してほしい人
- 作業中にヘッドレストを使いたい人
- ロッキング状態でタイピングしたい人
アクトチェアに向いている人
アームレストをしっかり活用したい人

タイピングはもちろん、読書やスマホ操作を快適にしたい人におすすめです。
アクトチェアのアームレストは、背もたれを倒したときにも自然に追従してくれる(背もたれ角度追従タイプ)ため、リラックス姿勢で腕を支えてくれます。
ほぼ同じ可動性を持つスチールケース「ジェスチャー」は、座面角度追従タイプとなってるため、アクトチェアほど背もたれ角度についてきてくれません。
アクトチェアのアームレストは、作業時からリラックスタイムまで幅広くアームレストを使いたい人にとって、ジェスチャーよりも便利に使えます。
作業姿勢に開放感を求める人
アクトチェアの背もたれは、体の自由度を損なわない構造になっています。
ピボット構造で、上半身のねじりを妨げない
横方向のカーブが浅めで、左右にゆとりがある
メッシュがやや張りがあり、体が沈み込みにくい
このため、「包み込まれるような窮屈さが苦手」「背中は支えてほしいけど自由に動きたい」 という人にピッタリです。
リビングの一角など作業場以外に置きたい人
アクトチェアは、背面の曲線を活かした柔らかなデザインと豊富なカラーバリエーションが魅力。
オフィス専用という堅苦しさがなく、リビングやワークスペースの一角に置いても自然に馴染みます。
むしろ部屋の雰囲気をワンランク上げてくれるデザイン性があり、生活空間にも違和感なく溶け込むチェアです。
アクトチェアに向いている人のまとめ
アクトチェアは「アームレストを重視する人」「背もたれに開放感を求める人」「生活空間にも馴染むデザインを求める人」に特におすすめです。
オフィスチェアとしての性能とデザイン性の両立を探している方にとって、有力な選択肢になるでしょう。
アクトチェアに向いていない人
正しい姿勢に矯正してほしい人
アクトチェアの背もたれは座面からやや低めの位置で最も盛り上がっているため、腰椎部分のサポート感は控えめです(写真はこちら)。
オプションのランバーサポートを追加しても劇的に変わるわけではないため、「腰をしっかり支えてほしい」という人には物足りなく感じられるかもしれません。
アクトチェアの座面は人によってはお尻が前に滑りやすいと感じることがあります。そのため、骨盤を立てて深く腰掛けたい人には不満が残る可能性も。
対策としては、座面奥行きを広めに設定して太もも全体で支えるようにしたり、座面をわずかに高く調整して圧力を高めることで滑りを軽減する方法があります。
また、座面生地と衣服の相性でも滑りやすさは変わるため、購入前の試座が非常に重要です。
可能なら姿勢を正す方向性の他のオフィスチェア(アーロンチェア、ジェスチャー、リープV2など)と座り比べてみることをおすすめします。




作業中にヘッドレストを使いたい人
アクトチェアのヘッドレストは固定式で、基本的には休憩用です。作業中に積極的にヘッドレストを使いたい人には不向きといえます。
もし作業でも使える可動式ヘッドレストを希望するなら、後継モデルの Act2 を検討するのがよいでしょう。
ロッキング状態でタイピングしたい人
アクトチェアのアームレストは背もたれに連動して大きく後方へ移動する構造(背もたれ角度追従タイプ)です。そのため、背もたれをロッキング状態で使うと、アームパッドが机と干渉することがあります。
またロッキング強弱(リクライニング反発力)の調整も5段階のみなので、細かく角度を固定したい人には不自由に感じられるかもしれません。
「タイピング中もロッキングで使いたい」「自分好みに細かく調整したい」という人は、アームレストが座面角度追従タイプの「ジェスチャー」を試すことをおすすめします。
アクトチェアの検討方法
ここではアクトチェアを検討する際に知っておきたいことをお話しします。私がアクトチェアを購入する場合のオプションとその理由も載せておきますので、よろしければ参考にしてください。
- アクトチェアを買って後悔するとしたら
- アクトチェアの試座のポイント
- イトーキオンラインショップ
- 私がアクトチェアを購入するとしたら
アクトチェアを買って後悔するとしたら
実際にレビューして分かった、アクトチェアで「買ってから後悔しやすいポイント」を挙げておきます。あらかじめ知っておくことで、購入前のチェックに役立つはずです。
座面の奥行きが足りなかった
アクトチェアは仕様上の数値に比べ、実際に座ると奥行きがやや狭く感じることがあります。その理由は2つです。
・人によってはお尻が前に滑りやすい形状であること
・リクライニングしても背もたれが座面から大きく離れないこと
この2つが重なって「座面奥行きの短さ」を感じるわけです。
参考までにリクライニング時の座面奥行きの違いを初代エルゴヒューマンと比較した写真を載せておきます。

ただし、体型や服装と座面生地の相性によってはお尻が前に押されなかったり、摩擦がしっかり働くことで前滑りが起きない可能性もあります。
試座の段階で良く確かめておきたい項目ですね。
腰のサポートが物足りなかった
アクトチェアの背もたれは、腰をぐっと押し出す形状ではありません。
オプションのランバーサポートも控えめな感触で、「しっかり腰を支えてほしい」と思う人には物足りなく感じるでしょう。
腰のサポート性を最優先するなら、思い切ってアクトチェア以外のモデルを検討するほうが安心です。

座面のクッションが合わなかった
アクトチェアの座面は、コンテッサ セコンダ、シルフィー、リープ V2、ジェスチャーといったクッション座面モデルと比べると、やや薄めに感じます。
正確にいうと、座ったときにクッションの下にある支持構造をわずかに感じるのです。
「柔らかめのクッションが好き」「底づき感に敏感」という人には不満につながるかもしれません。
アームレストを使いこなせなかった
アクトチェアの大きな特徴である4Dリンクアームレスト。
しかし、それでも思った位置に調節できなかったり、そもそもアームレストをあまり使わない人にとっては、宝の持ち腐れになりかねません。
さらに「アームレストがない方が軽く動かせて便利だった」と気づいたときに、価格とのギャップで後悔するケースもあります。
もしアームレスト以外に惹かれているなら、アームレストの無い仕様を考えましょう。価格や重量、扱いやすさが良くなります。
アクトチェアを買って後悔するかもしれないポイントのまとめ
このように「座面の奥行き、腰のサポート感、クッション性、アームレスト活用度」は、アクトチェアで注意したいポイントです。
必ず試座して、自分の体格や作業スタイルに合うかどうかを確認してから購入することをおすすめします。
アクトチェアの試座のポイント
これまでの内容を踏まえ、アクトチェアを試座する場合のポイントを挙げておきます。
座面奥行きの確認
座面に十分な奥行きがあるか、直立だけでなくリクライニング状態も前滑りを考慮して確認しましょう。その際できれば衣服も椅子を使う時のものにすると、座面生地と衣服の相性も確認できます。
腰付近のサポートに不満は無いか
後悔ポイントでもお話しした通り、アクトチェアの腰のサポートは控えめです。ランバーサポートを付けても大きくは変わらないため、オプションで選択する場合は必ず実機で確認しましょう。
座り心地の違和感チェック
座面のクッション性、底突き感、硬さ、前滑り感、直立からリクライニングまでの姿勢など、違和感が無いか確認しましょう。たとえ小さなものでも長期間使っているとだんだん気になってくるものです。
アームレストの調節範囲
用途にフィットした位置にアームレストを調節できるか確認しましょう。特にタイピングに使用したい場合は、必ずタイピング姿勢をとって確認することをおすすめします。その際、無理やり体をアームレストに合わせたりしていないかチェックすることが大切です。
「この椅子ならきっとタイピングに使えるはず」という先入観で、無意識のうちに体のほうを合わせてしまうことは良くある話です。姿勢を写真に撮ってもらうと冷静に見れますよ。
操作系の使いやすさチェック
アームレスト、座面、背もたれの操作系は扱いやすいか確認しましょう。良く使う調節の操作感が軽すぎたり重すぎたりしないか、調節器具の配置は普段の姿勢を大きく崩す必要はないか、操作をしやすい構造になっているかは重要です。
ヘッドレストは思った用途に使えるか
アクトチェアのヘッドレストは固定型のため、基本的には休憩時に使用するものになっています。目的の用途に合うのか、サイズ感に問題ないか確認が必要です。
アクトチェアを試座できる場所
アクトチェアはイトーキのショールームであるZA SALON TOKYO(坐サロン 東京)にて体験可能です。事前予約制ですので、詳細は下記サイトをご覧ください。
もっと詳しい試座のやり方が知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

イトーキ オンラインショップ
ウェブ購入をする場合、一つの候補になるのがイトーキ オンラインショップだと思うのですが、写真と内容が食い違っていることがあります。(全体写真にはランバーサポートが付いていないのに製品記号と文章はランバーサポート付になっているなど)
検討の際は、写真と製品記号(カタログに説明有り)と説明文章が一致するかよく見て、不一致があるなら問い合わせて確認したほうが良いかもしれません。
外部サイト:イトーキ オンラインショップ
アクトチェアの中古品について
アクトチェアの中古品ですが、基本的には、メーカー保証が使えなくなるため、あまりおすすめできません。
ただ、アクトチェアは新品でも最大3年の保証期間で、他の高級オフィスチェアと比べると短めです。3年のリスクを飲み込めるなら、中古商品も検討の余地があると思います。可能なら販売店である程度保証してもらえるものが安心です。
相場としては4Dアームレスト付、他のオプション無しで、程度にもよりますが3~4万円くらいで販売されています(2025年9月時点)。球数はやや少なめの傾向。
現物確認の際は、まず製造年を確認しましょう。アクトチェアは座面裏に表示があります。

商品としてはアームレストの構造がやや複雑なため、劣化や故障が気になります。アームレストの左右の高さがそろっているかなど、現物でしっかり確かめましょう。
また背面のフレーム部分はツヤ有りの樹脂製のため傷がつきやすいですし、傷があると目立ちます。許容できる範囲か確認しましょう。
私がアクトチェアを購入するとしたら
もし私がアクトチェアを購入するならという想定で、アクトチェアのオプションを考えたいと思います。あなたの判断の参考になれば幸いです。
購入目的:
普段使いの作業椅子として
理由:
4Dリンクアームレストが、レビューした中でも最高クラスでタイピングや読書に使いやすかった。
背もたれの選択:
メッシュバック(プレーン)
通気性重視だが、エラストマーバックは他に比べて重くなるため却下。
テクスチャーとプレーンではプレーンのほうが安価でデザインも好みのため。
脚の選択:
樹脂脚
椅子の重量が軽くなり、安価なため
他の部位がほとんど樹脂のため、樹脂脚で揃えても良いと感じた
キャスターの選択:
ナイロンキャスター
カーペットのため
オプション:
4Dリンクアームレスト
アクトチェアを選ぶ私の絶対条件
ヘッドレスト無し
休憩よりもストレッチと開放感を重視
自宅用なので休憩は別の場所でする
ランバーサポート無し
個人的には無くても問題なし
ハンガー無し
自宅用のため服は別の場所にかける
意外と大きく後ろに張り出しているため、結構気を遣う
アクトチェアの各部詳細
座面
背もたれ
リクライニング
アームレスト
脚
キャスター
ランバーサポート
追加取付可能のオプション
重量
保証
アクトチェアの座面
座面の寸法
カタログ値 | 計測値 | |
---|---|---|
座面角度 | – | 仰角4.5° |
座面高さ | 440~555mm (115mm) | 440~560mm (120mm) |
座面幅 | 540mm | カタログ値と一致 |
座面奥行き*1 | 390~465mm (75mm) | 390~430mm (40mm、7段階) |
*1 座面中前縁中央から背もたれ中央の最も狭くなる高さで計測
座面の水平に対する角度

座面の床からの高さ

座面の横幅

座面前縁から背もたれまでの奥行き

アクトチェアの適性身長
アクトチェアの最低座面高さは440mmとなっていますが、実際に計測したところ座面前縁の高さであり、坐骨位置ではありません。
坐骨位置での高さは、クッションのたわみも考慮するとおそらく最低380mm程度となります。

ここから適性身長を考えると坐骨位置の高さの4倍が適性身長になるため
380 X 4 = 1540mm = 154cm
したがって、150cm半ばくらいからしっかり足を付けることができると思います。
ただ足つきの不足は床置きのフットレストでも対応できるため、他の箇所のサイズにも注意しましょう。特に座面奥行きは重要です。
操作性
ガス上下調節レバー(座面昇降)の操作性

座面の高さを調節するガス上下調節レバーは、座った状態の右太ももの付け根の下辺りにあり、遠すぎないため体を傾けることなく操作できます。
レバーの硬さも適度に軽く、手のひらを座面に固定して操作できるため、座ったままで調節しやすいです。
座面奥行き調節レバーの操作性

座面奥行き調節レバーは座面前縁下の左右にあります。少し硬めの感触で左右同時に前後にスライドさせます。
座面前縁に体重がかかっていると調節しずらいため、少し腰を浮かせるか、かかとを上げて太もも裏の体重を抜と動かしやすくなります。
座面の特徴
座面形状
座面形状は座面奥の左右の隅が少しせりあがったバケットシート風になっています(写真はこちら)。大柄な人はこのせり上がりが少し干渉するかもしれません。
人によってはお尻が前滑りする可能性もありますので、必ず試座で座り心地を確認することをおすすめします。
座面構造
座面構造は座面内部が空洞で、ベンディングシートと呼ばれる細かいスリットの入ったインナーシェルを左右から吊った構造になっています。
これにより体重を適度に分散し、スリットから熱気を逃がすことで蒸れを防ぐ安定した座り心地を狙っています。
蒸れに関しては、今までレビューしてきたクッション座面のなかは最も熱がこもりにくいように感じました。
ちなみにAct2では、この通気性にさらに磨きをかけたクッションを採用しているため、かなり期待が持てます。
座面の硬さ
座面の総合的な硬さとしては、これまでレビューしてきたものの中で最も固いと感じました(動画はこちら)。
もちろんこの硬さは痛みにつながるようなものではなく、座り心地としての許容範囲にある硬さのため、硬めのシートのほうが好みの方に快適に感じられる程度の硬さという意味です。
これまでレビューしたクッション座面の硬さのトップはジェスチャーの座面です。クッション自体にマットのような心地よい硬さを感じたのですが、アクトチェアにはそれとは少し種類の違う硬さを感じました。
アクトチェアのクッション自体は標準的な硬さに感じますが少し厚みが薄く、その下にあるインナーシェルの存在をうっすら感じます。
これが全体の硬さにつながっているような印象を受けました。
あぐらをかけるか
アクトチェアの座面奥行きは割と狭めです。座面奥行き最小でもあぐらをかけますが、最大にしても余裕があるわけではありません。
下の写真は背もたれが直立状態ですが、リクライニングさせるともう少しだけ余裕が出ると思います。

アクトチェアの背もたれ
アクトチェアの背もたれは座面との組み合わせで素材の違う6種類から選ぶことができます。
クロスバック
プレーンクロスバック(PS):背座ともにプレーン生地
テクスチャードクロスバック(SA):背座ともにテクスチャード生地
メッシュバック
プレーンメッシュバック(JV):背(格子メッシュ)、座(プレーン生地)
テクスチャードメッシュバック(JE):背(織物メッシュ)、座(テクスチャード生地)
エラストマーバック
エラストマーバック(SC):背(エラストマー)、座(ポリエステル生地)
エラストマーバック(PS):背(エラストマー)、座(再生ポリエステル生地)
エラストマーバックは、樹脂とゴムの中間的柔らかさを持つ素材で、柔らかさとコシがあり上半身の動きを柔軟にサポートします。
メッシュ形状のため、通気性も抜群です。
他にもGSやJBといった生地の物も販売されていますが、少し古い型のようでカタログ2025上ではすでに記載がありません。
アクトチェアのリクライニング
アクトチェアのリクライニングはアンクルムーブ・シンクロロッキングといい、くるぶしを支点に座面と背もたれが1:3の割合で一体となって後傾します。

座面前縁があがらず、大腿部に圧迫感がありません。角度は5段階の角度固定が可能です。
リクライニング角度調節
以下に背もたれと座面の角度を計測値として載せておきます。
角度詳細(計測値)
背もたれ角度 (水平からの計測値) | 座面角度 (水平からの計測値) |
---|---|
107° | 4.5° |
112° | 6.0° |
116° | 7.5° |
120° | 9.0° |
125° | 10.0° |

角度固定操作
角度固定はロッキング角度固定レバーで行います。座面右下の後ろ側のレバーで上にあげると角度が固定され、下に下げると固定が解除されます。

固定を解除し、好きな角度に倒した後、レバーを上げて固定すると、5段階の近い角度で固定されます。軽い操作感ですが、少し音が大きいです。しっかり指でつまんで操作すると静かに調節できます。
ロッキング強弱調節
ロッキングの強弱(リクライニング反発力)調節は5段階調節になっています。
身長173cm体重60kgの私の使用感は、軽い順に次のとおりです。
1段目:
体重を預けると最大角度までリクライニングする軽さ
ロッキング状態で使うには、私には少し弱い
リラックスに使うには良い強さ
2段目:
体重を預けると最大角度付近までリクライニング
ストレッチで手を上に伸ばすと最大角度まで傾く
ロッキング状態で使うには、私には若干強い
リラックスに使うにも少し強い
3段目:
体重を預けても大きくは傾かない
ストレッチで勢いをつけると最大角度まで傾く
ロッキング状態にしても私には固定状態とほぼ同じ
4段目:
体重を預けてもほとんど傾かない。
ストレッチで手を上に伸ばしてもあまり変わりなし
勢いをつけて、さらに足で踏ん張ると何とか最大角度まで倒れる
リラックスしている感覚なし
5段目:
体重を預けても全く傾かず
ストレッチで手を上に伸ばし、足で踏ん張り、勢いをつけても少しだけ傾けるのがやっと
このようにアクトチェアは角度固定を解除したロッキング状態で使うには少し不便です。リクライニング中の粘りもあまりないため、角度調節が体重移動ではなくロッキングの強さで決まってしまいます。丁度いい強さに調節できない場合は、角度を固定して使用しましょう。
アクトチェアのアームレスト
アクトチェアはアームレストを付けないことも、固定式にすることも、4Dリンクアームレストにすることもできます。付けない場合はその分重量が軽く、価格も安くなります。
固定式(T型肘)の場合は、座面高さが最低の時610mmの高さになり4Dリンクアームの最低高さより少し高い程度です。
4Dリンクアームを選択すると以下の調節が可能になります。
アームパッドの前後調節

アームパッド前後調節:50mm、無段階
少し軽めの操作感です。動きには単なるスライドではないメカニカルな感触があります。
アームの回転調節

アーム回転調節:30°(内20°、外10°)無段階
割と軽めに操作できます。ジェスチャーよりも少し軽く操作しやすいです。
アームパッドの回転調節

アームパッド回転調節:内15°、0°、外15°の3段階
けっこう固めでしっかりした操作感です。ちょっと手が当たったくらいでは角度は変わりませんが、代わりにアーム回転調節が動きます。
アームレストの上下調節

上下調節120mm、5段階(取説より) →レビュー機は6段階
上下調節はラチェット機構になっていて、上にあげる際は単純に持ち上げるとカチッと音がするところで固定されます。
下げるときはアームパッド裏のレバーを引いている間、ロックを解除できます。ラチェット音は割と大きめです。
これを防ぎたい場合は、レバーを引いた状態で動かすとほぼ無音で調節できます。
椅子を持ち上げる際にこのアームレストをつかむと、ラチェット機構のせいでアームレストが動いてしまいます。椅子を持ち上げる際は座面と背もたれをつかむようにしましょう。
アクトチェアのアームレストはジェスチャーのアームレストとほぼ同じ機能を持っていますが、アクトチェアのほうが座面に対して高い位置まで調節できます。
この点は背の高い人にとって、アクトチェアを選ぶ理由になるかもしれません。
ジェスチャーのアームレスト高さに不満がある人は、ぜひアクトチェアを試してみてください。

アームパッドの柔らかさ
アクトチェアのアームパッドはクッションが入っていますが、割としっかりした硬さを持っています。表面の触り心地も悪くなく、しっとりとした印象です。
アクトチェアの脚

アクトチェアの脚は、樹脂脚とアルミミラーの脚を選択することができます。
樹脂脚は軽くて安価、アルミミラーの脚は磨き上げられた金属色で椅子全体の高級感をアップさせますが、重量が少し重くなり、価格もアップします。
アクトチェアのキャスター

キャスター径 60mm
アクトチェアのキャスターは購入時にナイロン双輪キャスター(カーペット床用)か抵抗付ウレタン双輪キャスター(カーペット床・硬質床用)を選択することができます。
抵抗付というのは離席時に不用意に動かないよう、座っていないときはキャスターに抵抗がかかり動きにくくする機能です。座っているときは抵抗はなくスムーズに動きます。
また交換用としてゴム単輪キャスターとグライド(固定用)の販売もあります。
アクトチェアのランバーサポート
調節範囲:上下60mm、7段階
クロスバックとメッシュバック・エラストマーバックでは、ランバーサポートの形状と構造が異なります。
メッシュバックとエラストマーバックにはロック機構(もたれると固定され、離れているときは調節可能)が装備されています。
ランバーサポートは後付け不可のため、購入時に決定留守必要があります。腰のサポートは相性がとても大事ですので、ランバーサポート付を選ぶなら必ず実物のついたアクトチェアで座り心地を確認しましょう。
アクトチェアの追加取付可能のオプション
アクトチェアには購入後に追加取付が可能なオプションが3つあります。
ヘッドレスト(ヘッドサポートユニット)は下記の4種類から選べます。
テクスチャードメッシュ
プレーンメッシュ
テクスチャードクロス
プレーンクロス
アームレスト
T型肘(固定肘)
アジャスタブル肘(4Dリンクアームレスト)
ハンガー

ハンガーは上の写真のとおり少し後ろに張り出しています。部屋で椅子の後ろの近くに壁がある場合は、接触しないか注意が必要です。
アクトチェアの重量
オプション等の選択により15.1~21.7kgになります。フル装備にしても高級オフィスチェアとしては軽めの椅子になります。
レビュー機はアームレスト有り、ハンガーあり、樹脂脚、ヘッドレストとランバーサポート無しのメッシュ背もたれで18.1kg(計測値)でした。
アームレスト無しやT型肘はもう少し軽くなるし、ヘッドレストやランバーサポートを取り付けるともっと重くなります。
またエラストマーバックやアルミ脚の選択も重量増になります。
アクトチェアの保証
アクトチェアの保証期間は最長3年となっています。
1年保証 | 外観表面仕上げ | 塗装・張地(皮革を含む)の変色、褪色、摩耗 |
2年保証 | 機能 | イスの上下・回転・ロッキング機構・キャスター |
3年保証 | 構造部材 | 座部・背もたれ部・肘掛け部・脚部の構造部材 |
引用元:イトーキ アクトチェア取扱説明書
他の高級オフィスチェアと比べると短めの保証期間になります。ただ他のオフィスチェアメーカーは廃棄物低減の観点から軒並み保証期間延長方向で動いているため、今後イトーキも延長する方向に動くかもしれません。
アクトチェアのまとめ
アクトチェアの最大のメリットは何といってもタイピングや読書に使いやすい4Dリンクアームレストです。
また開放的な座り心地で各種調整もしやすくデザインも良いため、使い勝手の良いオフィスチェアと感じました。あとは座り心地が好みと合うかどうかだと思います。
もしこのアクトチェアに興味を持っていただけたなら、ぜひお出かけして実物に座ってみてください。
以上、最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
あなたが魅力的なオフィスチェアに出会えることを願っています。

