レビュー記事

【初代エルゴヒューマンを徹底レビュー】リラックス系オフィスチェアの最有力候補

レビューチェア
  • 自宅で作業に集中できるオフィスチェアが欲しい
  • でも読書や動画鑑賞などリラックスするときにも使いたい
  • 両方を兼ね備えたオフィスチェアってないのかな?

そんな悩みを解決してくれる高級オフィスチェアの一つが「エルゴヒューマン」です。

なぜなら、このオフィスチェアはそれらを解決するための機能を数多く備えているからです。

私はエルゴヒューマン プロ オットマンを3年間ほぼ毎日8時間以上座ってきた経験から、このオフィスチェアの良い点、気になる点を余さずお伝えすることができます。

この記事では、エルゴヒューマンがどのような特徴を持ち、どんな人に向いているかを詳しく解説します。

この記事を読むと、なぜエルゴヒューマンだと作業に集中することができ、なぜリラックスタイムを快適に過ごすことができるのかが分かります。

はじめに

エルゴヒューマンは現在『初代エルゴヒューマン』と、2023年に発売された『エルゴヒューマン プロ2』の2種類が販売されています。

この記事は私が使ってきた『初代エルゴヒューマン』のプロオットマンを中心に、プロ、ベーシックについて解説します。

本記事の写真は断りがない限りプロオットマンのものとなります。

エルゴヒューマンの代表的なグレードは以下の3つです。
●エルゴヒューマン ベーシック
 (ヘッドレストの有無を選択可能)
●エルゴヒューマン プロ
 (ベーシックの上位版、ヘッドレストが標準装備、座面角度調節機能付き)
●エルゴヒューマン プロオットマン
 (プロにオットマンが追加されたもの)

エルゴヒューマンにはほかにも少し形の異なる「フィット」、低価格版の「スマート」、独立式ランバーサポートをなくした「エンジョイ」がありますが、本記事では扱いません。

エルゴヒューマンの良い点、気になる点

まずは最初にエルゴヒューマンの「良い点」と「注意したい点」を挙げて、その特徴を紹介します。

  • 調節機能がとにかく豊富
  • 1つで3か所の調節ができるハイブリッドレバー
  • 独立式ランバーサポートがしっかり腰を支えてくれる
  • 作業に集中できる
  • リラックスタイムとの相性がいい
  • 小柄な人には少し大きいサイズ
  • 総重量が重い
  • 執筆活動など下を向いて作業する人は少し工夫が必要
  • 調節機能のある部位にややガタツキがある

以下、順番に説明していきます。

良い点

まずはエルゴヒューマンの良い点を5つ紹介します。

調節機能がとにかく豊富

エルゴヒューマンの調節機能は大変豊富ですが、まずは主要な3か所(座面、背もたれ、アームレスト)の機能をご紹介します。

他の機能については後述の各部位詳細をみてくださいね。

座面調節:高さ、奥行き、座面角度
エルゴヒューマンの3つの座面調節機能

一般的な座面高さ調節に加え、太ももの長さに合わせて調節できる座面奥行き調節、前傾姿勢に対応した座面角度も調節可能です。

但し座面角度はプロ、プロオットマンのみの調節機能となっておりベーシックでは調節できません。

これらの機能は体のサイズに合わせた調節や座り心地(圧力分散や重心位置)を変化させることができます。

背もたれ調節:リクライニング(傾き)、リクライニングテンション、高さ
背もたれの調節範囲とリクライニングテンション調節ノブ

リクライニングは背もたれの傾き調節で、4段階の角度に固定できます。

リクライニングテンションは背もたれを傾ける際の反発力の調節です。

この椅子にはリクライニングを固定しないロッキング状態を楽しむ機能もあるため、ロッキングの反発力を調節する機能として便利です。

高さは背もたれの高さ位置を4段階で調節できます。

主な役割は一緒に動く独立式ランバーサポートの高さを調節するためのものといえます。

アームレスト調節:高さ、前後、左右、角度
4Dアームレストの調節範囲

エルゴヒューマンのアームレストは4種類の調節が可能な4Dアームレストです。

特に角度は高級オフィスチェアの中でもトップクラスの調節範囲で、5段階の調節が可能です。

タイピングやスマホ操作・読書時には広い範囲で腕を支えてくれるので、腕や肩の疲れを軽減してくれます。

アームレストの当たり面にはやや薄めですが、クッションが入っているのも良い点です。

アームレストの柔らかさ

1つで3か所の調節ができるハイブリッドレバー

ハイブリッドレバーによる3か所の調節

使用頻度の高い背もたれのリクライニング、座面高さ、座面奥行きの調節は、すべて座面右下にあるこのハイブリッドレバーだけで変更できます。

レバーを後ろに倒すとリクライニング、上に上げると座面高さ、前に倒すと座面奥行きの調節となります。

独立式ランバーサポートがしっかり腰を支えてくれる

エルゴヒューマンのランバーサポートが腰を支える様子の写真

独立式ランバーサポートは後ろから腰椎(写真のベルトの辺り)を支えることで骨盤を起こし、疲れにくい着座姿勢を保ちます。

ランバーサポートはメッシュでできているため、当たり面が柔らかく、しっかりとフィットします。

この機能を最大限活かすには座面の奥までしっかり座ることです。

着席時の腰の角度

しっかり座れていれば上の写真の「良い姿勢」のように骨盤が立ちますが、座りが浅いと「悪い姿勢」のように骨盤が斜めに寝てしまいます。

腰痛予防に興味のある方は一度試してみる価値ありです。

なお、見た目通りのしっかり腰を押す座り心地であるため、人によっては違和感を感じる方もいらっしゃるようです。

必ず試座を行ってからの検討をおすすめします。

作業に集中できる

エルゴヒューマンは背中を背もたれにしっかり預け下ではなく前方を見て座る後傾姿勢が取れるため、長時間の作業でも疲れにくく作業に集中することができます。

下の左2つの写真はリクライニングを最も立てた状態の姿勢です。

一般的な良い着座姿勢となりますが、上半身の体重がしっかり腰にかかるため、実は結構疲れます。

対して右2つの写真はリクライニングを1段階倒した状態の後傾姿勢です。

左2つの写真よりも上半身の体重がしっかり背もたれに預けられていることが分かると思います。

一般的なオフィスチェアでこの姿勢をとると骨盤が寝てしまいやすくなるのですが、エルゴヒューマンの独立式ランバーサポートがそれをしっかり支えて骨盤を起こすため、腰も疲れにくくなります。

下を向かないので首も疲れにくく、集中力が持続します。

画面との距離も余裕が持てるので目の疲れも軽減できます。

机の上に余裕があるなら左から3番目の写真のように腕を机に乗せてPC操作をしてもよいですし、余裕がないなら右端の写真のようにアームレストを使うと腕の重さを支えることができ、肩こりしにくい状態で集中できます。

リラックスタイムとの相性がいい

エルゴヒューマンは動画鑑賞やタブレット・スマホの操作、読書などのリラックスタイムとも相性の良い作りになっています。

スマホ操作ではアームレストの可動範囲が広く、ちょうど良い位置で腕を支えてくれるため、腕や肩が疲れません。

エルゴヒューマンのアームレストを活用したスマホ操作の写真

ヘッドレストの装備のあるタイプであれば、ちょっとした仮眠も可能です。

オットマンがついているタイプであれば、さらにリラックスできます。

エルゴヒューマンで仮眠

またオプションのタブレットスタンドがあれば、タブレット・スマホ操作、読書など、手で支えなくてよいため、贅沢な形で楽しめます。

エルゴヒューマンのタブレットスタンドを使用した読書の写真

気になる点

次にエルゴヒューマンの気になる点を4つ紹介します。

小柄な人には少し大きいサイズ

エルゴヒューマン プロオットマンの全長の写真

エルゴヒューマンは世界各国で販売される高級オフィスチェアだけあって、全体的に大きめで存在感があります。

特にヘッドレストの付いたタイプは、小さな部屋に置くと圧迫感を感じるかもしれません。

リクライニングを活用しオットマンも使いたい場合は、それなりの部屋の広さが必要です。

また全体の作りが大きいため、調節機能を使っても小柄な人には座り心地自体がしっくりこない可能性があります。

特に座面の最低高さが少し高いため一番低い位置に調節しても、かかとが付かない場合もあります。

そのような場合は「フットレスト」(床に置く足置き台)で調整することをおすすめします。

また私の場合は、肩幅が狭いため左右のアームレスト間の距離が若干広く感じました。

ただこれはアームレストの角度を最大限内側にすることで問題なく使えています。

総重量が重い

エルゴヒューマンの後ろ姿

エルゴヒューマンは構造にアルミポリッシュフレームを採用しているため重厚さが演出されています。

実際の重量としてもかなり重く、グレードによりおよそ25~32Kgほどになります。

大きめのキャスターを採用して動かしやすくする工夫がされていますが、一般的なオフィスチェアを動かすよりも力が必要です。

その一方で着席時に安定するという意味ではかなり安心感があります。

フローリングで使うのか、カーペットの上で使うのかで感じる重さも異なるため、店舗などで試座する場合には動かしやすさも確認しておくと良いでしょう。

床面保護のため、キャスターは床面を傷つけにくいポリウレタンキャスターになっていますが、心配な場合は「チェアマット」を用意すると安心です。

チェアマット

執筆活動など下を向いて作業する人は少し工夫が必要

エルゴヒューマンは執筆活動のような下を向いて作業をする場合、使い勝手は一般的なオフィスチェアと同等程度です。

プロとプロオットマンには座面前傾チルト機能が付いていますが、背もたれが連動して動かないため、完璧とは言えません。

また調節もワンタッチで変更できないため、この機能はあくまで普段の座面圧力と重心位置の微調節が主な役割となっています。

(ちなみにエルゴヒューマン プロ2では背もたれも連動するようになり、さらにワンタッチで前傾姿勢がとれるようになりました。)

エルゴヒューマンは後傾姿勢が得意なオフィスチェアになっています。

したがって後傾姿勢を活用した執筆をする場合は、下の写真のように傾斜台か机面の角度を変えられるものを用意してアームレストを併用すると快適な作業が可能です。

傾斜台の有無によるエルゴヒューマンの作業姿勢の違いの写真

調節機能のある部位にややガタツキがある

エルゴヒューマンには多くの調整機能がありますが、固定後もそれぞれの調節部に多少の遊び(調節の余裕)があります。

これがガタツキと感じられ、人によっては気になってしまうかもしれません。

ただ一度座って姿勢が安定すれば、使用中に気になることはほとんどありませんので、あとは好みの問題になります。

ほかの高級オフィスチェアでも、可動部位にはある程度のガタツキがみられます。

(エルゴヒューマン プロ2では、ガタツキがかなり改善されており高級感が増しています。)

エルゴヒューマンに向いている人

エルゴヒューマンはPC作業など前を見ることの多い人で、上半身をしっかり背もたれに預けて楽な姿勢で作業したい人にうってつけのオフィスチェアです。

具体的には次のような要望のある人に向いています。

  • 疲れたくない
  • 自分に合った姿勢にカスタマイズしたい
  • あえて姿勢を崩したい

疲れたくない

エルゴヒューマンは背もたれを1段階倒した状態にすると下腹部の圧迫が解放され、上半身と太ももの角度が開いた状態になり呼吸しやすい姿勢を維持することきます。

この状態では自然と顎を引くことになるため首に負担がかかりにくくなります。

独立式ランバーサポートが腰をしっかり支えてくれるため、良い姿勢を保てます。

さらにアームレストで腕を支えれば肩の負担も軽くなり、疲れがかなり軽減されます。

上半身の角度の比較

自分に合った姿勢にカスタマイズしたい

エルゴヒューマンは調節機能の豊富なオフィスチェアです。

背もたれ(高さ、角度、反発力調節)、座面(高さ、奥行き、角度(プロ、プロオットマンのみ)調節)、さらにはアームレスト(高さ、前後、左右、角度調節)、ほかにもヘッドレストやオットマンも調節できるため、かなり理想に近い姿勢を設定することができます。

あえて姿勢を崩したい

エルゴヒューマンの最大の魅力はリラックスした姿勢を取りやすいということです。

これはエルゴヒューマンが後傾姿勢を得意としているからで、過度な緊張から体を守り最高のパフォーマンスを発揮するのに役立ちます。

またおすすめするわけではないですが、時には姿勢を崩してあぐらをかきたい時もあると思います。

エルゴヒューマンの座面は横方向に比較的フラットで広いため、多くの人は問題なくあぐらをかけるでしょう。

さらにアームレストが大きくてクッションが入っており可動範囲も広いため、肘を置いてのスマホ操作や読書などはとても快適です。

加えてタブレットスタンドを使用すれば、机無しでもタブレット操作や読書がより快適に行えます。

エルゴヒューマンの座面上で胡坐をかいた姿勢での読書の写真

エルゴヒューマンが作業に集中できる理由

私はエルゴヒューマンに座ることで、以前よりもずっと作業に集中できるようになりました。

これはエルゴヒューマンが今まで集中を妨げる要因を取り除いてくれたからです。

皆さんは椅子の何が原因で作業に集中できなくなるでしょうか?

私の場合は下記の4つでした。

  • 痛み
  • 疲れ
  • 蒸れ
  • 騒音

しかし、エルゴヒューマンに座るようになってからは、すべて解消しました。

結果、椅子に座っての作業が快適になり、長い時間の作業に集中できるようになったのです。

それでは、各要因がどのように解消されたかを紹介します。

痛みを感じない

以前は椅子のフレームが太ももの裏や背中に当たり、痛みを感じていました。

しかし、エルゴヒューマンの座面フレームはひざ付近で下に湾曲しているため、太ももとの干渉を避ける形状になっています。

また、前縁と側縁にクッションが入っているので、太ももが直接フレームに接触せず、痛みを感じなくなりました。

座面フレームの湾曲

背中の痛みは、背もたれのフレームが肩甲骨に当たることが原因でした。

エルゴヒューマンの背もたれは大きく、フレームが肩上部付近に位置するため、体のどこにもフレームが接触せず、背中の痛みも解消されました。

エルゴヒューマンの広い背もたれ

疲れにくい姿勢がとれる

以前の椅子では正しい姿勢を保とうとすると、意識して背筋を伸ばす必要がありました。

このため背中や腰の筋肉が疲れてしまい、10分もたつと姿勢が崩れ背中が丸くなりがちでした。

そして悪い姿勢でいると背中、腰、首、肩などが凝ってきてさらに姿勢が悪くなる負のスパイラルにハマりました。

エルゴヒューマンでは、座面に深く座ると独立式ランバーサポートがしっかり腰を支えてくれるので、ただ座るだけで良い姿勢になり余計な力が入らなくなりました。

力を入れなくていいので自然と良い姿勢が長続きし、疲労もかなり軽減できるようになりました。

また私はPC作業が多いため、エルゴヒューマンの得意な後傾姿勢をとることにしたことも大きかったです。

従来は上半身が立っていたため、その重さのほとんどを腰で支えていました。

後傾姿勢をとると上半身の体重を腰だけでなく背もたれにも分散させることができきます。

これにより腰の負担を軽くできたことがよかったと思います。

蒸れない

以前は椅子の座面が低品質なクッションであったため、夏場、汗による太ももやお尻の蒸れは耐え難いものがあり、その状態で長い時間座っていることはかなり苦痛でした。

しかしメッシュ座面は見た目通り通気性に優れて涼しく、蒸れるということが無くなりました。

エルゴヒューマンのメッシュ生地の透け具合

騒音が無い

以前の椅子は樹脂製のフレームのせいか少し体を動かすだけでギシギシ音を立てるため、特に深夜などは気になって仕方ありませんでした。

エルゴヒューマンでは、基本構造部が樹脂ではなく金属(アルミニウム)でできています。

おかげで体を動かしてもほとんどフレームが変形しないため静かになり、騒音ストレスから解放されました。

ただしアームレストの角度など各部位の調節をする際の音は割と大きいですので、深夜の調節は気を付ける必要があります。

(エルゴヒューマン プロ2では、アームレストなどの調節音もかなり静かになっています。)

エルゴヒューマンがリラックスタイムを快適に過ごせる理由

エルゴヒューマンがリラックスタイムを快適に過ごせる理由は次の2つです。

  • リクライニングとロッキング機能
  • 姿勢をしっかりサポートしてくれる機能

リクライニングとロッキング機能

エルゴヒューマンのシンクロリクライニング

エルゴヒューマンの最大リクライニング角度は27°(プロ、プロオットマンは25°)です。

シンクロリクライニング機構(下記参照)を採用しており、背もたれの傾きに合わせて座面も若干角度が傾きます。

リクライニングには背もたれだけが倒れるものや、背もたれと座面が固定されて倒れるものがあります。

エルゴヒューマンのように背もたれと座面の角度が開きながら一緒に倒れるものはシンクロリクライニング機構と呼ばれ、一定の価格帯以上のオフィスチェアに採用されています。

また、回転の中心がひざ裏付近にあるため、リクライニング時にかかとがついたまま倒れるため安定感があります。

人間の体の動きにマッチしやすいため、座ればわかる快適な座り心地になります。

これによりリクライニング時に体が椅子にフィットした状態でリクライニングを行うことができます。

おかげで倒した際に背中側の衣服がずれにくく、またオフからオンへの復帰も違和感少なく行えます。

リクライニング角度を固定しないロッキング機能は、ロッキングチェアのように上半身を自由に揺らすことができ、ちょっとした気分転換に役立ちます。

姿勢をサポートしてくれる機能

エルゴヒューマンのリラックスした姿勢をサポートしてくれる機能には、アームレスト、ヘッドレスト、オットマン(プロオットマンのみ搭載)、タブレットスタンド(オプション)があります。

アームレストはリクライニングに追従して動くため、リクライニング時でも変わらずひじを乗せることができます。

おかげでリラックス時の読書やスマホ操作時の腕の疲れがかなり軽減されています。

エルゴヒューマンのリクライニングに連動するアームレスト

ヘッドレストは心地よい位置に高さと角度を調節できます。

私の場合、エルゴヒューマンのヘッドレストは頭を乗せた際に少し視線が上がる角度になります。

このため作業中はほぼ使用せず、休息時に最適となる位置に調節しています。

ヘッドレストの使用状態

プロオットマンならオットマンを展開することでふくらはぎを乗せ、足を延ばした状態でより快適にくつろげます。

角度を調節できるので、ふくらはぎに圧力がかかり過ぎない位置を選ぶことができます。

実際に座ってみた状態でのオットマンの調節範囲

読書やノートPC・スマホ・タブレット操作をする場合は、オプションのタブレットスタンドが役立ちます。

特にスマホ・パブレットの使用や読書時に手で支える必要がなくなるため、かなり便利です。

エルゴヒューマンのタブレットスタンドとオットマンを使用した読書の写真

各部位詳細

次にエルゴヒューマンの各部位を詳しく紹介します。

  • 座面
  • 背もたれ
  • アームレスト
  • ヘッドレスト
  • オットマン
  • キャスター
  • オプション(タブレットスタンド・ハンガー)

エルゴヒューマンは販売時期によりさまざまな形態が販売されていますが、2021年6月のカタログ時点では以下のようになっています。

座面

張り材

エラストメリックメッシュ

通気性、耐久性に優れたブラックベースのメッシュ。ポリエステル、ポリエステルエラストマーで作られています。 色は7色(グレー、ブラック、レッド、オレンジ、グリーン、ブルー、ホワイト)でいずれも控えめな色味です。

触ると少しひんやりした感触があります。 短パンなどで肌が直接触れてもさらさらしており嫌な感じはありません。

3年間使った程度では、メッシュのたるみなども感じませんでした。

あとメッシュチェア全般に言えることですが、通気性が良い反面、冬は少し寒く感じます。

そんな場合は薄めのひざ掛けなどを一枚座面に敷くと、座り心地を変えずに寒さを軽減できます。

メッシュ生地の拡大写真
3Dファブリックメッシュ

発色が良い素材で起毛があり柔らかな肌触りのメッシュ。

コットン、ナイロン、ポロエステルエラストマーで作られています。

色は5色(ブラック、レッド、オレンジ、グリーン、ブルー)で、エラストメリックメッシュに比べ鮮やかな色味となります。

クッション

張地はファブリック(ポリエステル)で、中は高密度モールドウレタンになります。

あまり太ももに汗をかかない方で、メッシュの座り心地に違和感を感じる方はこちらがオススメです。

レザー(2021年8月にカタログ上で廃盤)

厚みのあるしっとりした牛本革(オーストラリア・南アメリカ産)。色は2色(ブラックとブラウン)

座面高さ調節機能

座面高さの調節範囲は、座面のタイプにより少し違いがあります。

メッシュ:床面より460~550mm
クッション:床面より450~540mm
レザー:床面より440~540mm(2021年8月)にて廃盤)

座面高さは座った時の足つき度合いを調節できます。

机の高さを自由に調節できる場合、一般的な調節の目安は、かかとが床面についた状態でひざの角度が約90度になることです。

かかとが浮いた状態だとひざから下の足の重さも座面で支えることになり、特に太もも裏の圧迫が強くなって足が疲れてしまいます。

逆に座面が低すぎて、ひざの角度が90度以下になる状態では太もも裏が浮いてしまい上半身の体重がお尻だけに乗ります。

これではお尻が痛くなってしまいます。このように足つき度合いを調節する座面高さは非常に重要です。

座面高さの状態
エルゴヒューマンは小柄な人に向かないのか?

エルゴヒューマンの最低座面高さは、他のオフィスチェアに比べて少し高くなっています。

一般的に適切な座面の高さは、身長の1/4とされています。

このことから椅子の最低座面高さが分かれば、その4倍が適切な最低身長となります。

メッシュタイプの最低座面高さ(460mm)から身長を逆算すると

460 X 4=1840mm = 184cm

となってしまいます。

え?高っ!!

ですが、ご安心ください。

この計算方法の座面の高さは座って沈み込んだ高さです。

メッシュの座面は座ると意外に沈み込みます。

実際の沈み込みは下の動画をご覧ください。


体重60kgの私が座ると50mmくらいは沈みますので、実際の適正身長は

( 460 – 50 ) X 4 = 1640mm = 164cm

となります。

だから身長170cmの私でもしっかり足がつくわけです。

ただ椅子自体が大きめなのは確かです。

小柄な方は必ず試座して、座面高さだけでなくほかの部位(座面奥行き、背もたれ、ヘッドレスト、アームレストなど)も体に合うか確認することをおすすめします。

どうしても座面高さが高すぎる場合

座面高さを最低にしてもかかとがつかない場合や、机の高さが変更できず机に合わせて座面を調節するとかかとが浮いてしまうケースです。

座面高さ以外に問題がないときは床置きタイプのフットレスト(足を載せる台)を使うと正しい姿勢を保てます。

フットレストは座面高さに問題ない場合でも後傾姿勢をとるときに使用すると、より姿勢を安定させる効果があるので積極的に取り入れていくと良いと思います。

この場合は、ひざの角度は90度よりも大きくなります。

座面奥行き調節機能

座面の奥行き調節幅は65mm(計測値)を6段階で調節できます。

(カタログ上は、プロとプロオットマンは55mm、ベーシックは70mmになっています。)

この調節機能は座面前縁とひざ裏の間隔を調整できます。

間隔が狭いとひざ裏が座面前面に当たり、逆に広すぎると太もも裏の圧力が偏り、いずれも座り心地に影響します。

目安としては指2、3本分程度の隙間を空けると良いでしょう。

座面奥行き調節

またこの機能を最大幅にすることで座面が広くなり、あぐらをかく際に役立ちます。

お行儀のよい使い方ではないかもしれませんが、リラックスタイムにはそんな瞬間も大切だと思います。

あぐらをかいている様子

座面チルト機能

プロ、プロオットマンのみの機能で、座面の傾きを無段階で最大4°まで傾けることができます。

ただ背もたれは連動して傾かないため、前傾姿勢に移行する目的で使うには注意が必要です。

調節は座面下の調節つまみを回すことで微調整するタイプであり、ワンタッチで変更できるものではありません。

(エルゴヒューマン プロ2からは背もたれの傾きを含め、ワンタッチで前傾姿勢に移行できるようになりました。)

私見ですがこの機能の主なメリットはお尻から太ももにかけての圧迫中心を微調整できることにあると思います。

人それぞれでどこに重心があると心地良いのか変わりますので、それを微調整できるこの機能は、ほかのオフィスチェアにはなかなかない貴重な機能といえます。

ハイブリッドレバー

エルゴヒューマンは座面右下にあるハイブリッドレバーだけで、座面高さ、座面奥行き、リクライニングの3つの機能を操作できます。

操作は直観的で、上に上げると座面の上下高さ調節、後ろに倒すと背もたれの角度固定を解除、前に倒すと座面奥行き固定を解除できます。

一般的なオフィスチェアではそれぞれ別のレバーが割り当てられていることが多く、どのレバーをどう操作すれば良いのか、覚えるまでがストレスだったりしますが、エルゴヒューマンではその心配はありません。

またレバーは金属製で手触りが良く、操作の感触にも高級感があるため、よくある樹脂製のものより気分が上がります。

背もたれ

張り材

座面の張り材と同じですが、クッションタイプはありません。

高さ調節機能

背もたれ(独立式ランバーサポート含む)の高さを4段階、調節幅60mm(計測値)で調節できます。

調節はランバーサポートが腰椎(おへその裏からやや下あたり)を支持できる位置を探すと良いでしょう。

エルゴヒューマンの背面高さ調節の側面視の写真

独立式ランバーサポート

エルゴヒューマンのランバーサポート

ランバー(腰椎)を後ろから支えるためのもので、着席時の姿勢を疲れにくい形で支えてくれます。

私がこの椅子を選んだ一番の要因で、3年間の使用において最も良かった特徴です。エルゴヒューマンの最大の特徴の1つですが、最近では他のオフィスチェアにも広く採用されるようになりました。

特徴的な形状ですので、ご自身の体に合うかどうかしっかり試座して確認することをおすすめします。

もし違和感を感じる場合、長く使うほどその印象が強くなることがあります。

そのような場合は思い切って別のオフィスチェアを検討するのも賢い方法です。

リクライニング機能

リクライニング角度写真の重ね合わせ
リクライニング角度

最大27°、プロ、プロオットマンは25°

リクライニング固定箇所
エルゴヒューマンの背もたれのリクライニング範囲の写真

4段階

無段階調節ではないため、より細かな調節が好みの方はロッキング状態(リクライニングを固定しない状態)でリクライニングテンションを調節することで代用できるかもしれません。

もし厳密にこだわるなら無段階調節のオフィスチェアも検討すると良いでしょう。

シンクロリクライニング機構

背もたれと座面の角度が開きながら全体が連動して傾きます。

この機構のメリットは体と椅子にずれが発生しにくくなり、リクライニングによる作業のオンオフ時の切り替えがスムーズになることです。

リクライニングの角度変更

ハイブリッドレバーを後方に倒した状態で、背もたれによりかかり好みの位置より少しだけ手前の状態でハイブリッドレバーを戻します。

この状態でさらに寄りかかると少し後方の固定位置で静かに止まります。

この際、逆に寄りかかる力を抜くと少し前方の固定位置で止まるのですが、「バキッ」と大きな音がしてしまいます。

(なお、この騒音はエルゴヒューマン プロ2では解消されています。)

リクライニングの固定を解除する方法は、ハイブリッドレバーを後方に倒した状態で、一旦背もたれにしっかり寄りかかると固定が解除されます。

詳しくは下の動画をご覧ください。

ロッキング機能

ハイブリッドレバーを後方に倒した状態にするとリクライニング角度の固定が解除され、ロッキングチェアのように自由に背もたれを揺らすことができます。

これをロッキングといい、アイデアを考えるときなどの気分転換に役立ちます。

なおロッキングの範囲はリクライニングの最大角度と同じで、これを変更する(ロッキング範囲を小さくする)ことはできません。

リクライニングテンション調節機能

背もたれの角度を倒すとき(リクライニング)の反発力を無段階で調節できます。

調節の目安は多きく分けて2つで、1つ目はロッキング機能を使用するときに合わせ、ロッキングを使う時のように少し勢いをつけて背中を預けたときに最大角度になるすこし手前で止まる程度に調節します。

2つ目は同様に背中を預けたときに好みの角度で止まるようにすることです。

前者はロッキングを気持ちよく使え、2つ目は4段階の角度固定よりもっと細かい角度に調整したい場合に役立ちます。

調節幅は無段階で広いため、おおよそのニーズに対応可能です。

一度調節してしまえば、あとはあまり触る必要はないと思います。

初代エルゴヒューマンでは下の写真のように引っ張り出して回すため少し手間がかかりますが、エルゴヒューマン プロ2ではノブ形状が改良され、手間なく調節できるようになりました。

エルゴヒューマンのリクライニングテンション強度調節ノブの写真

アームレスト

素材

肘あて部は痛くならないようクッションが入っています。

表面は柔らかい樹脂のようになっており肌触りも良いです。

(エルゴヒューマン プロ2ではさらに柔らかく肉厚のクッションになっており、アームパッド部分の面積も少し広くなりました。)

調節範囲

4方向(上下、前後、左右、回転)の調節が可能で、4Dアームレストと呼ばれています。

上下調節機能
エルゴヒューマンのアームレストの上下可動範囲の写真

9段階で調節幅は約80mm(計測値)

アームレストは座面高さと一緒に上下するため、ここでいう調節幅はアームレスト単体の調節範囲です。

エルゴヒューマン プロ2では固定ボタンがなくなり、下から徐々に上げていくとその位置で固定され、一番上まで上げるとロックが解除されて一番下まで下がるようになっています。

初代よりも細かい調節が可能になっています。

前後調節機能
エルゴヒューマンのアームレストの前後可動範囲の写真

調節幅は約40mm(計測値)で無段階

左右調節機能
エルゴヒューマンのアームレストの左右可動範囲の写真

調節幅は約20mm(計測値)で無段階


角度調節機能

内側は4段階調節(おおよそ0°, 20°, 40°,60°)

外側は1段階調節(おおよそ20°)

高級オフィスチェアの中でも、ここまで広い角度で調整可能なアームレストは少なく、使い勝手の良い仕上がりです。

エルゴヒューマンのアームレストの可動角度範囲の写真

その他詳細

リクライニングに応じて、アームレストの角度も追従するため、リクライニング時もしっかり役立ちます。

リクライニングに連動するアームレストの写真

上下調節はしっかりロックされるため、椅子から立ち上がる際しっかり体重をかけることができます。

あとレアケースですが、アームレストがランバーサポートと干渉することがあります。

条件は

  • 背もたれを最も高い位置に調整
  • アームレストの高さを最低
  • 外側最大角度に広げる
  • 前後調節で後ろに下げる

です。

アームレストとランバーサポートの干渉

ヘッドレスト

素材

背もたれと同じメッシュ素材で、エラストメリックメッシュは少しひんやりした感触。

3Dファブリックメッシュは若干温かみを感じます。

調節範囲

上下調節機能

プロオットマンは6段階、調節幅は約50mm(計測値)

角度調節機能

4段階、調節幅は約45°(計測)

ヘッドレストの角度調節

オットマン

プロオットマンにのみ装備される足置き。

座面と同じくメッシュ素材。最大耐荷重25kg。

使用しないときは座面下に格納できます。

オットマンの展開と収納

このオットマンには1つ注意点があります。(個体差と座る人の体重にもよります。)

オットマンの展開時(写真の2の位置付近)では座面を最低高さにして座っている場合、オットマンの金属フレームと脚の金属部位が干渉する可能性のある位置があります。

特に写真2の位置付近の状態のまま椅子に座った状態で座面を回転させると、擦る可能性があります。

オットマンを写真2の位置付近で放置しないこと強くお勧めします。

調節範囲

角度調節機能

ラチェット機構となっており、上下角を細かく調節可能。

上限はおおむね水平位置まで。

エルゴヒューマン プロ オットマンの角度調節範囲の写真

キャスター

エルゴヒューマン プロオットマンのキャスター

素材

ポリウレタン樹脂

比較的柔らかい素材で、床面にやさしくなっています。

が、椅子自体がかなり重いため、床面やカーペットが心配な場合は別途チェアマットを準備することをおすすめします。

直径

ベーシック:60mm

プロ、プロオットマン:65mm

キャスターの直径は、大きいものの方がより小さな力で椅子を動かすことができます。

このため、より重量のあるプロ、プロオットマンに大きいサイズが使われているようです。

オプション

オプションにはタブレットスタンドとジャケットハンガーがあります。

いずれもベーシック用とプロ、プロオットマン用で使用できる商品が違うのでご注意ください。

タブレットスタンド

タブレットスタンドはその名の通りタブレット端末を乗せての使用や、ノートPCを乗せてタイピングすることも可能です。

背もたれの角度に合わせて傾き、さらにタブレットスタンド自体が3段階の角度調節ができるため、ある程度リクライニングした状態でも使えます。

タブレット端末を乗せての使用や、ノートPCを乗せてタイピングすることも可能です。

固定器具の幅が最大で36.5mm程度(計測値)となっているため、ノートPCなら16型以下のものは概ね使えるようです。

尚、耐荷重は5kgとなっています。

(エルゴヒューマン プロ2では残念ながらオプションからなくなりました。)

タブレットスタンドの展開と収納

ジャケットハンガー

背もたれに上着をかけておくための背もたれに取り付けるハンガーです。

(エルゴヒューマン プロ2では使用していないときに収納可能となりました。)

保証期間

この辺りは一般的な低価格帯のオフィスチェアと大きな差が出る部分です。

外装・表面仕上げ(塗装及び樹脂部品の変・退色、レザー・クロスの摩耗):1年
機構部・可動部(スライド機構・昇降機構などの故障):2年
構造体(強度・構造体にかかわる破損):5年

なお条件等詳細については商品の取扱説明書等をご参照ください。

まとめ

最後に3年間エルゴヒューマンプロオットマンに座り続けた私の感想をまとめます。

エルゴヒューマンの良い所は何といってもリラックスした姿勢で集中できるところです。

おかげで、これまでの椅子で経験した座り疲れは何だったのかと思うほどです。

おそらく最も大きく貢献したのが独立式ランバーサポートでしょう。

これが私の腰をサポートしてくれたおかげで、自然と良い姿勢を維持できたのだと感じています。

一方で、椅子自体の取り回しの重さ、各部位のガタツキは今でも少しだけ気になります。

また長時間座っていると(座っていられるから?)さすがにメッシュ座面の張りによる硬さを感じてしまいます。

ところが先日エルゴヒューマン プロ2を試座してきたところ、椅子の重さ、ガタツキ、メッシュ座面の座り心地のいずれもが大きく改善されていました。

特にメッシュ座面の座り心地は座ってすぐに違いが分かるほどで驚かされました。

調べてみると初代よりもメッシュの弾力が10%向上し、12か所のエリアを個別にサポートしているという徹底ぶりでした。

さすがに世界中で販売されているオフィスチェアと感心しました。

詳しい内容はまた改めて紹介したいと思います。

エルゴヒューマンは高級オフィスチェアの中でも比較的展示の多いオフィスチェアです。

もし皆さんがエルゴヒューマンに興味を持っていただけたなら、ぜひショールームや店頭へ試座に行かれることをおすすめします。

以上、最後までご覧いただきありがとうございます。

それでは皆さんが魅力的なオフィスチェアに出会えることを願っています。